山里は薄っすらと雪化粧。寒さも忘れて思わず歓声をあげる。 雪って不思議。なんだかわくわくとしてきて子供のように喜ばせてくれたり。 それも南国の雪だからこそ。雪国に住む人の苦労を忘れてはいけなかった。
日中は青空が広がりやわらかな冬の陽射しが降り注ぐ。 おひさまってほんとにありがたいなって思った。 こころまでも温めてくれてほっこりほっこりと過ごすことが出来る。
仕事は来客も多くて忙しく嬉しい悲鳴をあげていた。 相変わらずの海の上、波をかき分けるように船が進んでいるような。 行けるところまで行ってみようよ。誰かの声が聞こえたような気がする。
少し残業になり帰路につく。国道へは出ずに朝来た山道を通って帰る。 そこは遍路道でもあるけれど今年はまだ一度もお遍路さんを見かけていない。 なんだか少し寂しいけれど、春になればとその姿を目に浮かべるばかり。
帰宅してすぐに今日こそは歩こうとお大師堂に向かった。 お遍路さんの靴を発見、ちょっぴりわくわくとする瞬間だった。 扉をノックしてそっと開けると顔なじみのお遍路さんが微笑んでいた。 ちょうど二ヶ月ぶりの再会になる。とても元気そうでほっとした。
今まで何度も会っているけれどいまだに名前も知らなくて 「笑顔のお遍路さん」と私が勝手に名付けているひとだった。 いつもにこにことしていてほんとうに笑顔の良く似合うお遍路さん。
旅の無事を祈りつつお別れをする。今度会える時にはきっと春。
とても清々しい気持ちになって土手の道を帰った。
傾き始めたおひさまもにっこりと微笑んでいる。
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