寒の戻りもなんのその。うぐいすがしきりに鳴いて励ましてくれる。
「おう、だいぶ上手になったな」夫の一言ににっこりと微笑む朝。
早朝からの川仕事もぼちぼち。例年なら最盛期の頃なのだけれど 今年は不作のせいもあってがむしゃらに頑張ることもほとんどなかった。 程よい疲れ、それはきっとありがたいことなのだろうと思っている。
悪阻がひどくなった娘が昨夜も綾菜と遊びに来てくれた。 お婿さんが飲み会で留守なので夕食を作る気にもならないとのこと。 オムライスなら食べられそうと言うので腕を振るって四人分作る。 綾菜のオムライスにはアンパンマンの顔を書いてあげた。
食後はお楽しみのお風呂、ばあちゃんと入るのだと言って自分で服を脱ぐ。 私よりも先にはだかん坊になってさっさとお風呂場に向かう綾菜であった。
この冬の間、お風呂がとても苦手だった私もおかげでお風呂が好きになる。 自分が倒れる心配よりも綾菜に風邪をひかせてはいけないと気遣うばかり。 肩までちゃんと浸かろうね、玩具で遊んだり歌を歌ったり楽しいひと時。
お風呂上がり、茶の間でしばらくおりこうさんで遊んでいたのだけれど ドアノブを回すことをすっかり覚えてしまって他の部屋に行きたがる。 階段も上りたがり誰もいない二階にまで行きたがるようになった。 追いかけまわしているうちにじじばばはすっかりへとへとになるのだった。
そうして今度はまたトイレ騒動が始まる。パジャマのズボンもパンツも脱いで 自分でトイレに行こうとする。ついにトイレのドアも開けるようになった。
出るかな?出るかな?「う〜ん」と言ったり「シーシー」と言ったり。 そんなことを五回ほど繰り返したけれど残念ながら出るものが出なかった。
お尻はすっかり冷え切っていて今度こそ風邪を引いてしまいそう。 それなのにどうしてもパンツをはきたがらない。これにはさすがに参った。
娘と二人係で押さえつけて無理やりパンツをはかせたら大泣きになってしまった。 いったいどうしたいの?まだうまくしゃべれなくて伝えられないもどかしさ。 母さんもばあちゃんもどうしてわかってくれないのだろうって思っていることだろう。
そう思うと憐れになって怒るにも怒れなくなってしまう。
じゃあもうお家に帰ろうか?「うん!」今度はちゃんとパジャマのズボンをはいた。 そうしてさっさと玄関に向かうと自分でちゃんと靴をはいたりするのだった。
「今夜の豆台風は大荒れだったな」夫と苦笑いしながらふたりを見送る。
し〜んと静かになればそれもまた寂しいもの。
愛しさとは不思議なもので一緒にいる時よりもいない時のほうが大きい気がする。
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