雨あがりの爽やかな朝。小雀たちがちゅんちゅんとそれはにぎやか。
「行って来ま〜す」夫に声をかけて山里の職場に向かう。 いつもの長いトンネル、いつもの峠道がなんだかとても新鮮に感じる。
母が「とても楽になったよ」と言ってくれる。 それが嬉しくてならなくてついついハッスルしてしまうのだった。 自分を必要としてくれるひとがいてくれるのはほんとうにありがたいこと。 毎日がささやかな親孝行だと思って仕事に精を出したいと思う。
「ただいま〜」自分の帰りを待ってくれているひとがいてくれるのもありがたい。 「おう!」の一言。たまには「お帰りぃ!」って言ってみれば良いのに。 なんてこころのなかでくすくす笑いながらその日の疲れが癒されていく。
お大師堂には顔なじみのお遍路さんが到着していた。 ただただ笑顔、それが自分に出来る精一杯のお接待だと思う。 以前には少し複雑な気持ちになったこともあったけれど 自分はいったい何にこだわっていたのだろうと今日は思った。 もしも少なからず偏見を持っていたのなら謝りたい気持ちでいっぱいになった。
帰る家がない。待っていてくれる家族もいない。 それがどんなに孤独で辛いことだろうとあらためて思ったことだった。
お大師堂の紫陽花もほんのりと色づいてきた。
ゆったりと流れる大河はきょうもさらさらと歌いつづけている。
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