冬晴れの一日だったがやはり風は冷たい。
それでこその冬らしさなのだろう。
クリスマスイブだったが仕事の事で頭がいっぱいだった。
どんどんと年末が近づいており焦り始めているようだ。
今朝は出勤するなりお客さんが支払いに来てくれる。
請求書は出していたがもう諦めていただけに嬉しくてならない。
昨年の5月の修理代だった。てっきり放棄されたと思うのが当然だろう。
今日は幸先が良いなと目の前が明るくなる。
そうしたら思った通りになり次々とお客さんが来てくれたのだった。
集金もあった。半年近く入院していたお客さんで
まだ車の運転が不可能とのこと。もちろん喜んで集金に行く。
手土産に小さなクリスマスケーキを提げて行ったらとても喜んでくれる。
ご主人は施設に入居しておりずっと独り暮らしなのだった。
「嬉しい、嬉しい」と涙ぐんでおり私ももらい泣きしそうになる。
ささやかなほんの気持ちだったのによほど嬉しかったのだろう。
ちょっとした心遣いは大切なことだなと改めて思った。
義父は今日も農作業に励んでいたが口内炎はまだ治らず
おまけに昨日部分入れ歯を田んぼに落としてしまったのだそうだ。
最悪の事態となり増々食事が十分に摂れなくなってしまった。
お粥と豆腐で凌いでいたが今日も昼食を食べようとしない。
気になってならなかったがどうしようもなかった。
お得意さんにお歳暮を届けなければならず2時半に退社する。
ご本人は生憎留守だったが奥さんが居てくれて良かった。
これもささやかな気持ちであるがきっと伝わることだろう。
帰り道は自動車専用道路を走らずのんびりと国道を行く。
クリスマスイブなので「ちきん館」で「丸っぽ鶏」を買い求めた。
人気店であるだけに大勢のお客さんが押し掛けている。
売れ残ることはないだろうが「丸っぽ鶏」の量に驚く。
今日のためにどれほどの鶏が殺められたのだろうかと思った。
だからこそ有難く頂かなければならない。
例の如くで夫と先に夕食を済ませたがクリスマスケーキが気になる。
夫は既に諦めている様子で「別に食べんでもええわ」と言っていた。
食い意地の張っている私はそう云うわけにはいかない。
帰宅した娘がケーキの箱を提げていたので期待でいっぱいになった。
けれどもその箱が直ぐに開けられることはなかった。
子供の頃は楽しみでならないクリスマスイブだったが
大人になり老いてしまうと寂しいものだなと思う。
今日のお客さんも独りぼっちでケーキを食べていることだろう。
一番星はもちろんのこと満天の星空となった。
どうか寂しい人がいませんようにと手を合わせている。
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