一面の霜の朝。車のフロントガラスも真っ白に氷付いていた。
日に日に寒さが厳しくなり週末には雪の予報になっている。
年末年始は穏やかな晴天とはいかないようだ。
とうとう今年の仕事も最終週となる。
気負えば気負う程に落とし穴があるようで怖い。
気を落ち着ければついつい焦りが出てしまう。
「成るようにしかならないのだ」と言い聞かすばかりであった。
今日も通帳入金はゼロで肩を落とす。
今まで催促をしたことなどなかったが電話作戦を始めた。
春から支払いが滞っているお客さんが数人いたのだった。
かと云って強いことも言えず電話越しに頭をひたすら下げる。
一人は午後に支払いに来てくれた。明日も一人約束まで漕ぎつける。
小口の入金であってもどれ程助かることだろうか。
お客様は神様であるが困った時の神頼みであった。
年内の車検は後2台となった。他に点検や簡単な一般修理が残っている。
義父の助けを必要とする程でもなく今日も田んぼに送り出す。
しかし「草刈りまさお」の調子が悪いらしく何度も帰って来た。
そうしてまさおの治療をするとまた大急ぎで出掛けて行くのだった。
「草刈りまさお」は駄目だなと思う。「草なぎつよし」が良かったのだろう。
午後三時、義父は朝から何も食べていないと言う。
訊けば大きな口内炎が出来て痛みが酷いのだそうだ。
病院へ行くことを勧めたがそれよりも農作業であった。
口内炎も無理が祟ったのだと思う。血糖値も心配でならない。
それなのにふらつくこともなく何とも勇ましい姿であった。
そんな義父に年末の資金の心配を掛ける訳にはいかない。
ここは何としても自力で乗り越えようと心に誓う。
同僚にボーナスは分割払いになるかもしれないと話したら
「そんな話は聞いたことがないぞ」と大笑いしていた。
同僚も事情を察してくれているのだろう。少し気が楽になった。
3時半に退社。FMラジオは「希望特集」で何とも癒される。
岸洋子の「希望」や坂本九の「上を向いて歩こう」が流れていた。
希望という名のあなたが居るのなら私も是非会いたいものだ。
買い物を済ませ4時半過ぎに帰宅。大量の洗濯物が待っており休む間もない。
ぶつぶつと愚痴を云うべきではない。とにかく自分の役目を果たす。
いったいこれはどうしたことだろうと思う位に疲れていた。
お昼休憩も無かったのだ。流石に老体には厳しい一日であった。
毎日が「出来ること」で押し流されているのだろう。
当然のことであるが出来ないことは出来ない。
いったい私はいつまで試されるのだろうか。
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