ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2025年04月25日(金) 母の直感

曇り日であったが爽やかな風が吹いていた。

上空に寒気があるのだろうか明日の朝は少し冷え込みそうだ。

日中との寒暖差が激しいのはまだ春の名残なのだろう。

しかし陽射しはもう初夏である。風が薫る五月も近い。


朝の山道をを行けば若葉が目に沁みるように眩しかった。

もう冬枯れている木は見当たらず新緑の季節である。

もこもこと山が動いているように見えるのは椎の木の花らしい。

黄色とは呼べず黄な粉のような色をしている。

巨大なブロッコリーのようにも見えるが緑ではなかった。


椎の木の花が沢山咲いた年には大きな台風が来ると云う。

本当の事なのかは分からないがそんな言い伝えがある。

昔の人々が実際に経験して来たことなのだろう。




8時半前には職場に着いていたが今朝も義父の姿があった。

9時頃までは居てくれたが紛失した携帯電話が余程気になるらしく

昨日行っていた田んぼの周辺を探してみると云い残し飛び出して行った。

しかしやはり見つからなかったのか肩を落として帰って来る。

「もうそんな暇はない」すっかり諦めた様子でまた他の田んぼへ行く。

トラクターで代掻きを済ませないと田植えが出来ないのだ。


何とか見つけられないものかとドコモショップへ相談してみる。

義父の電話機にGPS機能が付いていれば探すことが出来るらしい。

店員さんが調べてくれていたがその最中に来客があった。

何と驚いたことに手には義父の電話機を持っているではないか。

自宅のすぐ裏が義父の田んぼで今朝裏庭で見つけたのだそうだ。

昨日作業をしている義父を見かけたのでそうに違いないと思ったらしい。

何と有難いことだろう。一刻も早く義父に報せてやりたかった。

しかし予備の電話を鳴らしても一向に繋がらない。

トラクターの音が大きいので着信音に気づかないのだろう。

例の如くでお昼になっても帰って来なかった。


急ぎの車検が入っていたので2時半には帰って欲しいと伝えてあったが

3時になっても帰らず意を決して田んぼに探しに行くことにした。

しかしあちらこちらに田んぼがあり何処に居るのか見当が付かない。

そうなればもう自分の直感だけが頼りであった。

私の直感はよく当たるのだがそれも母譲りである。

母は予知能力のようなものがあり霊感も強い人であった。

「絶対にあそこだ」そう信じて車を走らせる。

思った通りであった。義父のトラクターが直ぐに見つかる。

真っ先に携帯電話が見つかったことを話すとそれは大喜びしていた。

それから長靴のまま私の車に乗せ工場へとまっしぐらである。


4時前には車検が完了し同僚が宿毛市まで納車に行ってくれた。

お客さんとの約束を果たせ何とほっとしたことだろう。

義父も上機嫌でまた田んぼまで送り届けた。

日が暮れるまでには終わりそうとのこと。無我夢中の農作業である。


ずっと順調ではなかった仕事だが今日の達成感は大きい。

自分の直感を信じた結果だが何よりも母のおかげなのだと思った。

おそらく母の直感だったのだろう。私を導いてくれたのに違いない。

事務所の母の遺影に手を合わせ「母さんやったね」と声を掛けた。

毎朝「今日も一緒に頑張ろうね」「困った時には助けてね」と

声を掛けてから出掛けるのが日課であった。


母は決して死んでなどいない。ずっと私を見守ってくれているのだ。


※以下今朝の詩


          風

      強い風が吹いている
      南からだろうか
      西からだろうか
      風にも名があるらしいが
      何と呼べばいいのだろう

      さわさわと若葉の声がする
      もう春ではいられなくなり
      風は夏の手紙を届けに来た

      もしや連れ去ってしまうのか
      見失うその前に心に問うばかり

      大切なものならば守りたい
      風に逆らってでも守り抜く

      風の声が心に沁みる
      やがては風そのものになる

      すこうし痛い
      すこうし哀しい


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