お兄さん
メールが届いた。
数年前からの友人。
台風の被害の心配をしてくれていた。
彼の名を、仮に和幸さんとする。

和幸さんには複数の妹さんがいて、彼女たちが
結婚や出産をするたびに、写真を送ってくれる。
和幸さん自身は独身だ。

妹さんたちから、いつも服装のセンスが悪いと言われ
るが、本人は何故だかわからない。
彼は
 俺、いつも清潔な服を着てますよ。
 それなのに・・・
と、トンチンカンなことを言った。
清潔さとセンスのよさは、別問題だからと言っても
彼は納得しない。

彼に一度だけプロポーズされたことがある。
それが元で私たちは大ゲンカになった。
家を継ぐために結婚しなければならない彼と
家制度などくだらないと言い切る私。

だけど和幸さんにはとてもお世話になった。
私を妹さんたちと同じように心配し
一人暮らしを始める時、事細かにアドバイスを貰った。
2階以上の部屋を借りなさい。
ベランダには、男物の下着を干しなさい。
表札にも男性名を入れなさい。
玄関の覗き窓のレンズを逆向きに取り付けなさい。
妹の一人というより、娘を心配する父親みたいだ。

食欲がないと言うと、お米やすぐに食べられる
菓子類を送ってくれた。
引っ越すたびに、必ず住所と電話番号を教えてください
と言われ、必ず伝えた。

そんなオヤジのような和幸さんは
実は、私より8歳年下だ。
だけど、私はふざけて「お兄さん」と呼んでいる。


2004年10月21日(木)

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