いつも傍観者
吐き出すことで、あの人は癒されていない。
2年前に、私が書いた。
それは違うと気づいた。
吐き出すこと、書き殴ることで増幅される。
憎しみ、怒り、嫉妬、辛さ、苦しさ。
マイナスの気持ちは、よりマイナス方向へ加速する。
楽しかったこと、嬉しかったこと。
書いて、言って、確認することで喜びは倍増する。
プラスの気持ちは、いっそうプラス方向へ。
吐き出した後、すっきりできる性質なら救われる。
一つ吐き出した後、次々に忘れていた小さな憎しみを
思い出し始めたら、止まらなくなる。
マイナス方向へ、急速に。
外に向かって、吐き出しているはずが
内に向かって、山積にされていく。
いつか、溜め切れなくなって決壊するよ。
自滅するのは、誰も傷つかないからいい。
だけど刃を外に向けると、自他共に修復できなくなるよ。
寸前で思い止まれればいいね。
一歩手前で、バランスを取り戻せればいいね。
私は私で手一杯。
だから、黙って見ているよ。
*** *** *** *** ***
この一週間ずっと一緒に行動した。
いつも傍にいた。
寄り添って眠った。
車で送り迎えしてくれた。
ここを出る時は連れて行くと言われた。
現実的な君は、仕事を優先した。
崩れそうになりながら、耐えていた。
愚痴を何度も言う私を励ました。
勝手に決め付けるなと、また言われそうだけど
君は冷たい人だね。
そう感じた、一週間だった。
誰からも電話がないと嘆いたね。
私には、次々に電話があるのを驚いたね。
私は熱があることも、吐き気が止まらないことも
すぐに言わなくなった。
早く治してね
早く元気になってね
早く、早く、早く
無理なこと言わないで。
できるなら、とっくにやってるから。
入院するなら、帰って、馴染みの病院でする。
帰って来いと、親が言った。
そして、親の所にいる自分を想像して吐き気が増した。
帰りたいのは親の家じゃない。
親のいない、あの場所になら帰りたい。
ここの人は、暖かいね。
親切で純朴で、穏やかで我慢強い。
だけど、私は誰とも接してないから。
その思いやりも、優しさも、離れた位置で見ているだけ。
でも、とても好きになった。
2004年10月30日(土)
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