治療法
何が欲しい?
なんだろう?何も浮かばなかった。
彼がノートPCについてあれこれ調べ始めても、気づかなかった。
しばらくして、彼が私に何かを買おうとしてるのだと気づいた。
あまりにも無縁だったから。
彼からもらったものはたくさんある。
彼と買いに行ったものもたくさんある。
だけど、買いに行ったものの大半は、私が私のために買ったもので
もらったもののほとんどが、どこかに買いに行ったものではない。
彼が聞いたら怒るかもしれないけれど、
本当に彼から何かを買ってもらえるなんて想像できない。
この数週間、私はなぜかずっとおなかを壊していて
医者に行くのも薬を飲むこともせずにいた。
どこにも行きたくないのは毎度のことで、
行かなければならないギリギリまでじっとしていた。
ついに今までしたことがなかった方法で、外界との接触を断った。
固定電話のジャックを抜き、携帯の着信音を消音にして
電源はそのままにした。
彼とすら話したくなく、声を出さずに過ごした。
携帯の着信画面を見ることなく、どこに置いたかさえ忘れていた。
ようやく携帯を探し出し、彼にメールしようと画面を見ると
彼から数分おきの着信あり。
メールを打とうとすると、また着信。
ごめんなさいしか言えなかった。
喜怒哀楽が抜け落ちて、彼がどうしてこんなに電話やメールを
寄越したのかわからなかった。
彼はとても心配し、連絡が取れないなら翌日にでも来ようと
していたらしい。
携帯の電源を切っていたら、またご機嫌が悪いと思ったけど
コール音はあるのに出てこないから、何かあったのかと思った。
彼が心配そうな声で話し、私が無事にいるのを確かめて安心する
のを聞いていると、本当にごめんなさいしか言えなかった。
ご機嫌斜めとかじゃないよ。
そんな軽い次元のものじゃない。
しなければいけないと思えば思うほど、腹痛は続き
しないままで1日が終わると、明日を考え、また痛くなり。
日常会話すらしたくなかった、できなかった。
欲しいモノは浮かばない。
ここから抜け出したい、連れ出してほしい。
言えないから、今は言っても仕方ないから。
だから何が欲しいと聞かれても困る。
おなか痛いの、どうしたら治る?
あなたがいてくれたら治るかもしれない。
2005年10月14日(金)
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