息子への謝罪
息子の携帯が、また繋がらなかった。
いつもなら、息子の友達に連絡していた。
今日は元の家に電話した。
離婚してから、元夫と話したのは1度きり。
息子を男手一つで育ててくれたことに、いつかお礼を言おうと思っていた。
いい機会だと思った。
お正月に聞いた話も思い出し、女性が電話に出ることも予想していた。
思ったとおり、女性の声。
どう名乗っていいかわからず、元夫の名前を告げるとあっさり
呼んでくれた。
どちら様ですかと問うこと無しに。
30分ほど話してわかったことは、男手一つではなかったこと。
その女性が、掃除洗濯料理一切を息子のためにしてくれていた。
相変わらず能天気な元夫だった。
その女性と同居していた。
中学1年と小学1年の子供二人と共に。
息子に電話して2時間近く話した。
息子は3年近く彼女の存在を知りながら、父親から話してくれるのを
待ったそうだ。
息子が家を出る直前、知らない間に家に入られることだけは
いやだと思い、息子から切り出したらしい。
その女性をとてもいい人だと息子は言う。
私も話を聞いてそう思った。
きちんと紹介してくれと言ったのは息子。
家賃がもったいないからと同居を勧めたのは息子。
祖父母、つまり元夫の両親に話せと言ったのは息子。
いつ私に言おうか、悩んでいた息子。
息子は、私よりよっぽど大人だ。
当時、元夫の悪口を、息子に言わずに家を出た。
息子にとって父親だし、父親の悪い面を聞かせたくなかった。
今夜、私はもういいだろうと思い、息子に言った。
気分を悪くするだろうけど、ごめんね。
あの男は、本当にヘタレだね。
俺もヘタレだと思う。
つくづくそう思った。
自分からは何も話さずに、周りが気を遣ってる。
息子の俺までが、そうしてしまう。
女性のことを、祖父母に話したのは、やはり息子だった。
それもたったの数週間前らしい。
いつも業を煮やし、私が動いていたことを思い出した。
今は、息子がそれをしている。
少しでも早い独立を夢見ている息子が不憫だった。
俺にだって子育てくらいできると、威勢良く啖呵をきった元夫。
あの祖父母がいれば、との思いで一人家を出た。
後悔しても始まらない。
自分が決めたことなのに、今夜は何度も息子に謝った。
心から申し訳なかったとお詫びした。
2005年11月08日(火)
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