見つからない言葉
大丈夫?
大丈夫なわけがない。
がんばって。
ピントはずれ。
どんな感じ?
既に知っている。
体調どう?
声を聞けばわかる。
彼にかける言葉が見つからない。
ネットに繋がらない環境の彼に代わり、部屋を探した。
仕事中の私は、一人になった時間を使う。
携帯での短いやりとりは、意志の疎通がうまくいかない。
PCから彼の携帯へ。
疲れと慣れない環境と治らない風邪。
こんなときの彼が、どうなのかわかっていたはずなのにね。
ちょっとした行き違いで、かっとなった。
蔑ろにされたようで「馬鹿にするな」と返事した。
彼には毛頭そんなつもりなどなかったのに。
そのまま怒りをぶつけ、それでも時間が迫っていると焦りを抑え
メールを送る。
けれど、私の「馬鹿にするな」の一言で、彼の気持ちが離れてしまった。
最後に越えられない壁に突き当たり、私は降参した。
放棄したと言っていいかもしれない。
私ではどうにもならない。
今の私では。
「続き柄」の文字を見て、現実が押し寄せた。
赤の他人だと書いてやろうか。
恋人だと、婚約者だと。
自嘲交じりに呟いた。
帰りの彼からの電話。
彼の声が冷たく突き放したよう。
話すと言い訳にしか聞こえない、私の言葉。
自分の気持ちを押し付けるだけの、私の言葉。
彼は呆れ果てた、冷たい声、疲れた声。
彼は家に帰り、まだ仕事をすると言った。
まだ眠れない彼に、おやすみなさいと言えなかった。
2005年11月18日(金)
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