彼のいなくなった夜
2週間の予定で始めた同居期間が、3週間に延びたのは、
途中で彼が消えたから。
5日後に戻ってきた彼は、憔悴し苛立っていた。

最後の最後に、また悔しさと悲しみを味わったけれど、
毎日、彼の帰る時間に合わせて食事を作り、彼と眠った。

実質半月足らずの同居が、昔からの習慣のように馴染んでいた。
21時から食事の支度を始め、零時前に食事して、深夜2時に一緒に入浴。
彼は帰ってからも仕事を続け、眠るのは3時過ぎか4時。

こんな不健康な毎日だったけれど、食事量は多かった。
朝食を作り、献立を考え買い物に行く。
楽しかった。

あの隠し事が発覚した数日間は悪夢のようで、
現実そのものだった。

2年前の彼の不実を、今なじるのことは意味が無いようで、実はある。
過去は現在に、現在は未来に続いていく。
真っ二つに折られた携帯電話の残骸を目にしたとき、私は笑った。
器物損壊で届けてやろうかと言ったとき、水を差したね。

それ以外の彼との生活は、楽しくて穏やかだった。
二人でベッドで横になり、DVDを3本観た。
早めのクリスマスプレゼントに、
私からはネクタイとCDを、彼からは色違いのマウスとテディベアをペアで。
二人で外食し、手を繋いで歩き、このままの暮らしが続くことを願った。

彼と二人で暮らしたいと強く願った。
半月足らずではなく、ずっとずっと。

駅のホームのベンチに座る男性。
颯爽と通りを歩く男性。
彼より、数十倍いい男が溢れているのに。
私の人生とクロスオーバーすることはない。

彼がいない部屋でひとり。
わたしは食べることを忘れてしまった。

2005年12月11日(日)

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