泡沫の記
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2005年02月07日(月) 傍にいてほしい

なんとなく、随分と会っていない男のことが気になって
ふと電話をしてしまった。

銀座に勤めているSは私が誰だかわからなかった。
相変わらず今夜は彼女と一緒だという。
銀座の店は辞めていまは上野の浄水器の会社にいるらしい。
次から次へと仕事を変えるのも彼らしい。
相変わらず間延びした声である。
たいした用があるわけではないので、少し話して電話を切った。

一番年下のJは相変わらず不機嫌そうな声で電話に出た。
仲間うちのゴタゴタで参っているのも相変わらず、である。
あれから連絡もくれないで薄情だと言ったら、怒った。
彼はバイトをかけもちしていたらしい。
子供のためにお金を作ってわたすつもりでいたと。
私はお金の問題より前に、ほかに何かないのか?と聞いたが
彼に対してでも「何か」を求めるのは、間違いなのだ。
まだ年若い彼の理屈が、一番しっかりしている。
Jはいつでもまっすぐだ。屈折した環境に育ったせいで彼の人格も
随分とゆがめられてしまっているが、彼の持つ生来の素直さは
どんなに卑屈になっていても、失われることはない。
彼にはすまないことをしたと思う。
3月にはようやく家をでることになると言う。
彼の人生のスタートは本当にこれからなんだと思う。
年が離れていても不思議な魅力のある人で、私は年の差が
心底恨めしかった。
彼に私のいまの状況は想像さえつかないだろう。
でも、それを知らせて何になるのだ?
私に出来るのは彼を解放してやることだけだと思う。
電話は深夜の4時に及び、眠気のせいか彼も穏やかになってくれて
後味が悪くなく電話を切ることができた。

人を好きになるというのはやっかいなものだ。
私は自分の思うように生きるしかない。
激しい恋をする日がまたいつかやってくる可能性はあるのだろうか・・。
片思いで身を焦がすような苦しみはもう沢山。。

男の遍歴がこんなに長く続くとは思わなかったけれど
誰一人として私の傍に残った者はいない。
さみしくなったときに誰か傍にいてほしいと思っているのに。












波ちどり |MAIL

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