同僚が腕を切ってる。 過呼吸を起こす。 夥しい赤い線を描く傷痕と 呼吸数は比例している。
自分が辿ってきた道を このまま辿るんではないか。 あたしより5年近く若い歳で そのままあたしの5年前を行くのではないか。 不安になった。
あたしの傷は、重ねるごとに深くなった。 今では必ず静脈を切るまで、リストカットの意味を成さない。 彼女の傷は、まだ引っ掻いた程度だ。 それが深くならない保証はない。
彼女の言葉の端々に 自分の影を見るようで それでも彼女は別物だ。 自分と同じな訳じゃない。 けれど、何も理解できない周囲より 彼女の痛みがわかるのに わかる筈なのに あたしは何も救えない。 何もしてやれない。
何の為の痛みだ。 どうして彼女の悲鳴に気付いたのに。
あたしは、無力だ。
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