ぶらんこ
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とてもとても素敵なおばちゃんと会えた。
おばちゃんはすぅごく明るい。 笑顔。笑顔。笑顔。なんだって笑い飛ばす。そのせいかな?ほっぺたなんかツヤツヤ。 「おばちゃんの肌ってとっても綺麗」 わたしがそう言うと 「真っ黒でしょう〜」 おばちゃんは恥じらいながら笑った。 そういうところ、すごくかわいい。80歳に近いだなんて、とても信じられない。
おばちゃんはずっと、だんなさんとふたりで暮らしている。 ご主人さまはもう長いこと、寝たきり。 病気が進行して、おじぃさんは言葉をも失ってしまった。それでも、おばちゃんにはちゃんと聞こえている。 きっとふたりは、わたしたちの知らない方法で話をしているのだろう、と・・・思う。
広い畑の一本道。おばちゃんが、おじぃさんを車椅子に乗せて歩いている。 おばちゃんは、カメラを見ながら、おおきく笑っている。 おじぃさんも、ほんの少し顔を上げて、ちいさく笑っている。 引き伸ばされた一枚の写真は、おじぃさんのベッドから見えるところに飾られている。 畑の緑は濃く、青い空はどこまでも高く。 おばちゃんの手拭いが、眩しいほどに白く光っている。
なんもせんでね、と言うのに、おばちゃんはちっちゃな台所で、カチャカチャ音を立てながらお茶を準備してくれた。 本当は「してはいけないこと」になっている。でも、断る必要がどこにあるというのだろう? おばちゃんの話を聞きながら、一緒にお茶をいただいた。 おじぃさんの痰のこと、吸引のこと、入浴サービスのこと。 おばちゃんの息子のこと、孫のこと、猫のこと。 庭のテッセンのこと、山の中の畑のこと。。。。
「畑は大変よー。こんな忙しくせんでもいいのにっち、思うんだけどねー」 おじぃさんがいるので、畑に出られても2時間が限度だからどれもこれも中途半端になってしまう。 「そうこうしてるうちに、雨が降るしなぁー」おばちゃんはおでこを叩きながら笑う。 「おばちゃん、野菜の出来るのがかわいいんでしょう」わたしがそう言うと、 「もうね、自分ではよぅ食わんのにねー、畑は楽しみなんじゃねぇー。うん。野菜がかわいいねぇ!そんとおり!」 なんとも言えないほどに嬉しそうな表情になる。
おばちゃんは、自分の暮らしを自分で創っている。 自分が思うように。やりたいように。 おばちゃんの笑顔の秘密はそこにあるのかも。。。。
わたしも、おばちゃんのように笑っていたいなぁと思う。
しあわせなひとは まわりのひとをも しあわせにする
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