ぶらんこ
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2005年05月05日(木) しあわせなひと

とてもとても素敵なおばちゃんと会えた。

おばちゃんはすぅごく明るい。
笑顔。笑顔。笑顔。なんだって笑い飛ばす。そのせいかな?ほっぺたなんかツヤツヤ。
「おばちゃんの肌ってとっても綺麗」 わたしがそう言うと
「真っ黒でしょう〜」 おばちゃんは恥じらいながら笑った。
そういうところ、すごくかわいい。80歳に近いだなんて、とても信じられない。


おばちゃんはずっと、だんなさんとふたりで暮らしている。
ご主人さまはもう長いこと、寝たきり。
病気が進行して、おじぃさんは言葉をも失ってしまった。それでも、おばちゃんにはちゃんと聞こえている。
きっとふたりは、わたしたちの知らない方法で話をしているのだろう、と・・・思う。



広い畑の一本道。おばちゃんが、おじぃさんを車椅子に乗せて歩いている。
おばちゃんは、カメラを見ながら、おおきく笑っている。
おじぃさんも、ほんの少し顔を上げて、ちいさく笑っている。
引き伸ばされた一枚の写真は、おじぃさんのベッドから見えるところに飾られている。
畑の緑は濃く、青い空はどこまでも高く。
おばちゃんの手拭いが、眩しいほどに白く光っている。



なんもせんでね、と言うのに、おばちゃんはちっちゃな台所で、カチャカチャ音を立てながらお茶を準備してくれた。
本当は「してはいけないこと」になっている。でも、断る必要がどこにあるというのだろう?
おばちゃんの話を聞きながら、一緒にお茶をいただいた。
おじぃさんの痰のこと、吸引のこと、入浴サービスのこと。
おばちゃんの息子のこと、孫のこと、猫のこと。
庭のテッセンのこと、山の中の畑のこと。。。。

「畑は大変よー。こんな忙しくせんでもいいのにっち、思うんだけどねー」
おじぃさんがいるので、畑に出られても2時間が限度だからどれもこれも中途半端になってしまう。
「そうこうしてるうちに、雨が降るしなぁー」おばちゃんはおでこを叩きながら笑う。
「おばちゃん、野菜の出来るのがかわいいんでしょう」わたしがそう言うと、
「もうね、自分ではよぅ食わんのにねー、畑は楽しみなんじゃねぇー。うん。野菜がかわいいねぇ!そんとおり!」
なんとも言えないほどに嬉しそうな表情になる。


おばちゃんは、自分の暮らしを自分で創っている。
自分が思うように。やりたいように。
おばちゃんの笑顔の秘密はそこにあるのかも。。。。


わたしも、おばちゃんのように笑っていたいなぁと思う。


しあわせなひとは
まわりのひとをも
しあわせにする



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