ぶらんこ
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2006年08月05日(土)


     患者さんの中には牛の生産者の方々も多い。
     牛舎は敷地内にあり、それほど大きくはない。
     写真を撮ろうとしたらもう一頭も近付いてきた。
     優しい眼でわたしを見る牛たち。
     





子牛は生後8ヶ月くらいでせり市場へと出されるのだそう。
一頭あたり、30〜50万円前後。
子牛の状態を見て値がつけられる。良い子牛ほど、高値でせり落とされるが、80万だか100万を超えると税金が課せられるという。

「高値がつくと嬉しいっちゅうか誇らしいね。せりの日は朝から気持ちが逸るよ。」
とは生産者の弁。わたしの担当する患者さんの奥さまだ。
以前は夫が主にやっていたが今ではすべてが奥さんの仕事。夫の介護をしながら、牛の世話をしている肝っ玉ばぁちゃんである。
「朝と夕2回えさをやるくらいで、牛の世話はそんなに大変じゃないよ。」


買われた子牛はどこかよその牧場(?)に引き取られ育てられるそうだ。
そして2歳頃になったら「食肉」として売られる。
わたしたちがいただいている牛肉はそれだ。


「子牛を手放すときは淋しい気持ちとかにもなりますか。」
・・・馬鹿な質問をしてしまったなぁと今になって思う。
奥さまは笑って言ってた。「去年は一度に3頭せりに出したよ。」



わたしは菜食主義者でもないし「もう食べられない」と言うほどセンチメンタルな人間でもない。
ただ、牛でも豚でも鶏でも美味しくおいしくちゃんと味わっていただこう。と、思う。
牛たちを見ていると、逆に彼らから見られているような気持ちになった。





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