ぶらんこ
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「おやっとさぁ〜」 この言葉。 テレビのCMではよく聞く。 芋焼酎の名前にもなっている。
先日、この言葉を初めて生で聞いた。 訪問先の患者さんの家で、お客さんが「おやっとさ〜」と言いながら何かを届けに来たのだ。 どうやら畜産組合のお年始のご挨拶がわりの品物だったらしい。 おばちゃんは「ありがとさんね〜」とお礼を言っていた。
わたしは感激してしまって「初めて聞きました!『こんにちは』の意味でしたっけ?」と訊ねた。 するとおばちゃんは「いんや。お疲れさんです、っちゅうことじゃいねー」と教えてくれた。 それが妙に嬉しくて、なぜか心のなかの良いところへと入ったようで、リハビリを終えたばかりの患者さんに「おやっとさぁ〜」と言ってみた。 患者さんはにっこりと笑って頷いた。奥さん(おばちゃん)は「そうそう。そんな感じで使うんよ」と喜んだ。
なんとも気分が良くなって、それからも事ある毎に「おやっとさ〜」と口にしてみた。 最後にはおばちゃんから「そう何度も使うもんじゃなかよ」と、笑われた。
・・という話を先日、友人にしたところ。 「そんな風にここの言葉を使おうとする姿勢って大切だね、良いことだと思うよ」と言う。 間違った使い方であったとしても、だ。
そんな風に言われて、あらためて思い返してみた。 鹿児島の言葉=かごんま弁=ヨソ言葉 これはわたしの中でずっと変わらずにあった式だ。 今もそうだと思っていた。 でも、どうやら違ってきたらしい。 何かが変わった。 その「何か」とは「自分」なのだろう。
それは素敵な発見だった。 そういう「ゆるやかさ」って良い。 自分がなんぼのモンじゃ。 という感じ。
ところでもうひとつの式。 島口=島ユムタ=わきゃユムタ これは今も変わらない。 島のユムタは、なちかしゃ(愛しい)。 先の友人の言葉も、実際は島ユムタでのもの。 ユムタの向こうにある「情」のようなものを感じることが出来る。
友人に感謝。 あらためて思ったのだが、ひとと話すことって、常に新しい発見が伴うものだ。 彼がわたしを通して見つけたもの。 わたしが彼を通して見つけたもの。 お互いがそれを素直に口に出来ることもまた、嬉しいことだと思う。
♪歳をとるのは素敵なことです
みゆきの詩は最高。 この唄を一緒に口ずさめる関係というのも、また、ほらしゃ。
ユムタ っちば むじらさ やぁ〜。 どぅし っちば ありがて なんやぁ〜。
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