ぶらんこ
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畑の手入れをしていると、上からどんぐりが落ちてきた。 ポトン、コロコロコロ。転がってってコトリと止まったそのどんぐりの先に、どんぐり。 ほぉ。。。あらためて周りを見ると、あらまぁあちこち、どんぐりだらけだった。
うへー。驚きとともに眺めていたら、今度はバラバラと降ってきた。 バラバラバラ、コロコロコロコロ。 まるで、どんぐり雨。 思わず、ひょっとしてトトロが来たのかな?と、樹を見上げた。
おーい。何か言いたいことがあるのー。
心のなかで叫んだけれど、トトロは姿を現さなかった。 やっぱり大人には見えないのか。 それとも、声に出さなかったからか。
しばらくして、どんぐり雨は止んだ。 それでも動かずにじぃっとしていたら、たまーに何個か、ポトンコトン、と落ちてきた。
先週、樹を切り倒そうかと思う、と夫が言っていたのを思い出した。畑の日当りをもっと良くしたいのだそうだ。 わたしは・・・どうも気が進まない。だから、枝を切るだけで良いんじゃないの?と言っておいた。 夫もそれに同意した様子だった。というか、切り倒すという考え自体、それほど本気ではなかったのかもしれない。
サツキとメイのどんぐりは、ムクムクと芽を出し、どんどこ大きくなって、巨木へと育った。 あの場面を見て、どれだけわくわくしたか知れない。夢だけど、夢じゃない。夢だけど、夢じゃない。 でも、残念ながらあれはお話の中だけのこと、とも思っていた。
ここに住むようになって、実際にどんぐりが芽を出すのを知った。 「神経質になることはないけど、どんぐりは気付いたときに拾っておかないと、芽が出て大変な思いをするんだ」 夫に言われたときには、わたしをからかっているのだろうと思った。 大変な思い、って、森になるわけでもないでしょうに。
しかーし。それは本当のホントだった。 もちろん森にはなってない。でも、庭のいたるところに木の芽が出た。沢山、沢山。
木の芽の根は、しっかりとしている。それを抜くのには案外力が要る。草と違って、茎も固い。 放っておくと、順調に育っていくものと思われる。それくらいの強さがある。 だからいつかは森になるだろう、放っておいたらの話だけれど。
・・・トトロは森を広げたいのか?
閃いて、樹を見上げた。どうしよう・・・困った。
どんぐりは拾わずに置く。鹿やりすが食べたいだろうから。 でも、来年も、庭の木の芽は抜く。それから、森は森で、そのままにしておく。
トトロ、これでいかがでしょうか。
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