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スナの自由気ままな画像付き日記
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2005年03月23日(水)_
風張・柳沢・笹子峠240kmラン -その4-


柳沢峠からの下りは、爽快そのものだった。以前来たときは真夜中だったので、常にブレーキをかけながら、LEDライトの灯りのみを頼りに恐る恐る下ったので、下りを全然楽しめなかった。ただ、普通に下ったらすごそうだなと感じていた。

最初のきついヘアピンなどは、記憶に残っていた。トンネルに入ると灯りがあるので、安心したっけ。あのとき思いっきり下りを楽しめなかった分、思う存分、全開で下る。

忍者麺は下りがまだ苦手のようで、後からゆっくり下ると言っていた。おれはガンガン下って行った。最初は車が数台いて一緒に下っていたが、道幅が広くなったところで先に行ったので、そこからは心おきなく下りを楽しめた。

ループしている陸橋は、とても印象に残っているところだった。陸橋に等間隔に設置されているライトが道を照らし、幻想的な光景だった。思わず止まって、しばし感慨にふけった。



かなり下ったところで一旦忍者麺を待ち、それからまた下りだした。少し下ると、畑の広がる田舎のいい感じの風景があったので、止まって写真を撮った(これが今回の写真)。

以前ここを通ったときは、蛙の大合唱が辺りに鳴り響き、耳をふさぎたくなるほどの大音量だった。あのときは真っ暗だったけど、こんな風景が広がっていたのかと、しみじみ思う。

そこからは民家が両脇に現れ、その中に続く長い直線の下りを下って行く。ここも印象に残っているところで、以前来たときもここは灯りがあったのでガンガン下って行ったものだ。



R411を下りきって、塩山の市街地を走って行くと塩山駅前にやってきた。塩山には親戚の家があるので、昔はよくこの駅を利用したものだが、一番新しい思い出は、やはりここで真夜中ネモッチを待っていたときだろう。職務質問されたりしたし。

塩山駅を通り過ぎ、細くなったR411を走って行く。しばらく山梨らしい、ブドウ畑や山々に囲まれた景色が続く。この景色が好きだ。そして、ようやくセブンに到着した。

ここは2002年の北海道〜神奈川のロングツーリングの最終日に、親戚の家を出発して最初に補給休憩したコンビニで、とても懐かしい。そして、約80kmぶりのコンビニ。やはりコンビニはオアシスだ。

ようやくまともな休憩がとれた。エネルギー補給もしっかりして、補給食も買った。ドリンクも補充し、最後の笹子峠や残りの距離に備える。もう日が沈みかけていて、笹子峠を越える頃には真っ暗になりそうだった。



地図を頭の中に入れてから出発。休憩して少し回復したこともあり、おれが先頭で走って行った。等々力から県道34号へ左折。ここから上りが始まった。R20に出てからもダラダラとした上りが続いた。

2人とも疲労が溜まってきていて、次第に口数が少なくなっていた。いや、疲れているのはおれだけなのかもしれない…。「前変わろうか?」と忍者麺が気を利かせてくれたが、柳沢峠でさんざん迷惑をかけたので、せめて笹子峠の入口までは前を引いていくつもりだったので、そのまま先頭を続けた。

もう足にかなり疲労が溜まっていて、このままでは笹子峠もかなりゆっくり上ることになりそうだった。次第に辺りが薄暗くなっていった。疲れているせいか、思ったより峠の入口まで距離があったように感じた。



ようやく峠への分かれ道にやってきた。このままR20を直進すると新笹子トンネルになる。ここは自転車も通れることになっているが、車1台がすれ違えるだけの道幅な上に、交通量が多く、大型車も多いので、自転車で走る気にはなれない。だから、遠回りでも、峠を越えるつもりだった。

県道212号線に入ると、車がいなくなった。いよいよ峠が始まる。一気に勾配がきつくなった。ここは大学1年の夏の「いなかラン」で通った以来、4年以上ぶりだ。あのときは大月側から上ってこちらに下ってきたので、今回は逆になる。

なにしろ昔のことなので、ほとんど記憶にない。上りのいくつかのシーンは少し記憶に残っているが、下りは最後の方で地元の子供達に「かっこいい〜」と言われた事くらいしか記憶にない。

薄暗くなった笹子峠を、ゆっくりと上っていく。おれのヘロヘロペースに忍者麺が合わせて上ってくれた。一緒に走って行きながら、自転車話などをした。こうして峠を併走しながら自転車話をするのは楽しいものだ。



しばらく上ったところで、思わぬ物を目にした。ゲートが閉まっていた。「冬季閉鎖」と書かれている。ここまでせっかく上ってきたのに、今さら引き返して地獄の笹子トンネルを走る気にはなれなかった。

そんなわけで、そのままゲートの下をくぐって強行することにした。もう3月の中旬だし、雪なども残っていないだろうと思った。しかし、この後とんでもない展開になるとは、このときまだ知るよしはなかった。

とうとう完全に日が暮れて、辺りは真っ暗になった。もう自分たちのLEDライトの灯りのみが頼りだ。これは前回ネモッチと柳沢峠を上ったときと同じ状況だ。あのときの経験があるから、今回もそれほど不安はなかった。



しばらく上っていくと、道に雪が残っている所が出てきた。日陰が多い道なので、車も冬季閉鎖中で通らないから、雪が溶けないのだろう。なんとか雪のない部分を通っていった。

そのうち、道一面に雪が積もっている所が断続的に現れ、自転車を押して歩いていくことになった。これをやった後に待っている出来事は、2人で正月に荒川を走ったときの経験からお互い知っていた。

ロードシューズのクリートに雪(というか氷の固まり)が詰まって、クリートがはまらなくなるのだ。やはり今回も同じ状況になり、ライトで照らしながら木の枝などで氷を取り除いて、ようやく走れるようになった。

「雪の道を押して歩く→クリート掃除」を繰り返しながら進んでいった。2人という心強さもあり、多少の困難は乗り越えられる。しかし、その後に見た光景にはさすがに参った。

道一面どころか、どこまでも雪が続いてた。それも20〜30cmはある。ここまでくるともうどうしようもない。笑うしかなかった。溝がある道の端が少し雪が少なかったので、ロードを担いでそこを歩いていく事にした。

しかし途中からそれもなくなり、雪の中を歩いていくしかなかった。ハンドルについているライトが懐中電灯代わりで、SPD-SLのクリート付きの歩きにくいロードシューズで雪中シクロクロス状態。



所々走れるところもあったが、かなり雪の割合が多かった。S720iの標高によるとそろそろ笹子峠のトンネルにたどり着いてもいいはずで、もうすぐトンネルだ、あのカーブの先か? などと思いながら走って行くが、ことごとく期待を裏切られた。

ふと思ったが、こんな真っ暗でゲート封鎖していて誰も入らないような峠道にいること自体、かなり恐いことだ。雪に覆われているし、何かあっても誰も気付かない。2人でなかったら絶対できない。

ようやく笹子峠のトンネルにたどり着いたときは、思わず喜びの声を上げた。それにしても、真っ暗な中に現れたトンネルはとても恐い。試しにライトを消してみた。2人同時に「恐ぇ〜…」。これはヤバイ。1人ではあり得ない。

2人で併走しながらトンネルを走っていった。おれの走行ラインはやけに荒れていて、何度もこけそうになった。最後は路面が凍結していて、スリップしてトンネルの壁に突っ込んだ。真っ暗なので何もわからない。幸いこけなかったので怪我はなかった。



やっと上りは終わったが、まだ下りが残っている。もちろん、下りも雪の路面が待っていた。この状況で焦っても仕方ないので、落ち着いて押して歩いて下って行った。

もうクリート掃除は無駄なのでやらなくなった。すぐ雪の上を歩くから、掃除してもすぐ同じ状況になるからだ。ブレーキに雪が詰まってホイールが回りにくくなるが、雪をかき出す作業もやめた。

しばらく雪の上を歩いていくと、路面に雪がなくなった。少し乗って下るとすぐに雪の路面。押して歩く。雪がなくなった。乗って下る。また雪。これの繰り返しだった。

次第に雪の割合が減ってきて、乗って下れる区間が長くなってきた。乗って下れると言っても、爽快とはほど遠いものだ。むしろ恐怖に近い。路面には落石が多く、木の枝なども多い。とどめには倒木で大きな木が道をふさいでいたりもした。

それらが、急に目の前に現れるから恐ろしい。自転車のライトで照らせる範囲は狭いので、ほとんど手前しかまともに照らせない。真っ暗の中から急に石やら雪やらひび割れやらが飛び込んでくる。スリル満点だ。途中からゲーム感覚で下って行った。



下っていて、ふと、前方の路面がうっすら見えることに気が付いた。ライトの灯りが届いていないのに、なぜ道が見えるのか…。空を見上げると、澄み渡った星空に、大きな月が輝いていた。今まで見た事もないくらいの明るさで、S720iの表示がしっかりと読み取れるほどだった。

月明かりが路面を照らし、危険な下りをサポートしてくれた。貧弱なライトを頼りに下るしかない2人にはありがたい。おれは月に感謝しながら下って行った。

ずいぶん下ったところで、灯りが見えた。街灯だった。たった一つの街灯が、とても安心感を与えてくれた。国道は近い。ポツポツ民家も現れるようになってきた。そしてついに、ついにR20に復帰した。



R20に出ると、なんと目の前にファミマがあった。なんという幸運。辛い道を越えてきたご褒美のようだった。コンビニの前で暖かい飲み物を飲み、おにぎり2個を食べてエネルギー補給。コンビニは本当にオアシスだ。

ずいぶん冷え込んでいて、ジッとしていると凍えるほどだった。笹子峠も寒かったが、コンビニで現実に戻ると一気に寒さを感じるようになった。すでに160km走り、3200m以上アップしている。



笹子からは大月まで下り基調。下りはおれの方が得意なので、おれが先頭になった。足はクタクタだが、下りならなんとかなるだろう。それに少し休憩しているし。

街灯がなくて真っ暗な区間は恐かったが、夜の下りはまた別の楽しみがあった。とにかく全開でガンガン踏み倒し、下って行った。夜で体感速度が上がり、かなり爽快だった。

あまりに飛ばしているので忍者麺がちぎれていないかちょっと心配だったが、彼のライトが路面を照らしていたので後ろにいることが確認できた。自分でもこの後足が動かなくなるんじゃないかと思うほど飛ばした。



ガンガン飛ばしたおかげで、あっという間に大月までやってきた。下りが終わって平坦になり、上りも出てきた。先頭を忍者麺に代わってもらい、おれのペースを考慮しながら走ってもらった。

R20と言えば交通量が多くて走りづらい印象があったが、意外にも車はそんなに多くなく、かなり調子よく走って行けた。所々渋滞していたが、夜はそんなに交通量が多くないのだろうか。

しかし、そのうち交通量が増えて「いつものR20」のようになってきた。上野原からは、大渋滞。歩道や路側帯のすり抜けなどで進んでいった。毎回思うが、もうちょっと道幅を広げてもらいたいものだ。



相模湖までやってくると、だいぶ地元に帰ってきた感が出てきて、安心する。いつもの裏道で渋滞を回避し、セブンに到着。しかしここのトイレがなかなか空かない上に並んでいたので、すぐ先のコンビニを目指して出発。

ここからは道をよく知っているおれが先頭に。下りではけっこうガンガン踏んでいった。なんとなく、足が回復してきているように感じられた。そしてR412沿いのセブンに到着。

ここが2人で休憩する最後のコンビニとなった。セブンを出発すると、すぐにR412とR413との交差点、三ヶ木がある。ここから忍者麺はR412で厚木方面へ、おれはR413で橋本方面へ向かう。

足が回復してきていることもあり、最後は妙にハイだった。思う存分走りまくり、笹子峠での非日常的な経験があり、そしてもう地元までやってきている。足も回復してきている。



三ヶ木で忍者麺と別れ、残りの30kmを1人で走って行く。あまりにも快調に走れるので冷静になって考えたら、追い風が吹いていた。最後に嬉しいアシスト。

夜空には月が輝いている。笹子峠でサポートしてくれた月。なんとなく、この追い風も月からのサポートのような気がしてきた。月に感謝しながら、快調に走っていった。

とても200km、それも3000m以上上ってきた後の走りとは思えない、素晴らしく快調な走りだった。柳沢峠の上りですでにヘロヘロだったのに、ずっと30km以上で走っていけた。

そして、ペダリングがやけにスムーズだった。踏み込むときの腿の上の筋肉、引き足のハムストリングス。意識しながらかなり理想のペダリングで走って行けた。そんな感じで快調に走れるので、爽快この上なかった。

橋本からはR16。飲み物がなくなりそうだったが、コンビニに休憩するのもめんどうになり、このまま快調に家まで走り続けることにした。R16でも追い風は続き、ここでも30km以上で快調に走っていった。

ガンガン飛ばしたので、あっという間に家までやってきた。帰宅は23時半頃。朝6時半頃出発だったので、正に1日中走った感じだ。帰宅後はクタクタで、夕飯を口に運ぶのすらだるかった。



今回のランは、ロードでは最長となる240km以上のロングラン。それも、風張峠、柳沢峠、笹子峠の3つの1000m以上の峠を越えて3620mアップ。これも今までで一番上ったランだ。

思う存分ヒルクライムを満喫し、笹子峠では思わぬ展開になったが、逆にその状況を楽しんだ。同じ事をまたやりたいかと言われたら「ノー」だが…。あえてやろうとは思わないが、しかたなくなってしまったら、またこの経験が活きるだろう。

それにしても過酷なランだった。翌日は風邪っぽい症状が出て、合計15時間も寝込んでしまった。三連休でないとこんなに過酷なランはできない。逆に、連休ならけっこう無茶なランをやってみたい気もする。


地図:Map(CLICK Here!)
データ:PolarData(CLICK Here!)
走行日:2005/03/20
出発:6:21 帰宅:23:29
走行距離:243.3km
走行時間:11h 11m 03s
平均速度:22.0km/h
最高速度:56.6km/h
上昇距離:3620m
心拍数(平均/最高):142bpm/176bpm
平均ケイデンス:85rpm
温度(最低/平均/最高):2℃/6℃/-
積算距離:9434km(ロード)
カロリー消費量:3877kcal

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