その朝は、仕事納めだった。
私は、できるだけ昨日と同じ服だと悟られないように、 服の合わせ方を変えて、出勤した。
昨日の自分とは違う感じ、なんとなく、地に足が着かない それでも、なんとか、いつもと変わりない調子で、大掃除にとりかかった。
「今日のりかちゃんは、なんか色っぽいね」 なんて、同僚の言葉に、ドキッとしながら、 「え〜っ。そお?」と、平静を装った
そんな時間が過ぎたあと、私は、ロッカー室に行った。
こそこそっと、女の子同士の話し声がするが、私が入った途端、その声は、 ピタッと止んだ。
妙な居心地の悪さがあった。
そそくさと、用事を済ませて、その居心地の悪い場所を後にした・・・・
・・・・・今のは何だったんだろう。 まさか昨日の事が、ばれてるんじゃないでしょうね。
そんなはずは、絶対無かった。あの約束は、誰にも気づかれていないはずだ。
では、何だったんだ?
胸騒ぎを感じながら、社長の挨拶を上の空で聞いていた。
私は、ある心ある人を通して、その居心地の悪さの正体を知った。 それは、昨日の出来事が、ばれていた訳ではなかった。
異例の昇格で、一ブランドを任された私、 忘年会で多くの営業マンに絶賛された私 そんな私をよく思わない人たちの、心無い嫌がらせや中傷であった。
「あの人は、男の人に褒められる為に、人気稼ぎのためだけに、男に媚売って 自分の格を上げようとしてるのよ。」 そんなことを言われていたらしい。
私は、憤慨すると同時に、深く心にとげが刺さった。
一生懸命嫌な事も我慢してがんばったのに、なぜ伝わらないのだろう ただ、純粋にこの会社に慣れようと努力しただけなのに。。。。。。
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