2004年12月12日(日) |
坂道のある街は、いつだって素敵だ。 |
空はうす蒼く、灰色がかって素敵な冬色だ。
街路樹の銀杏は、細い枝にわずかに色を残しているだけで、
ほとんどが足元に積もって風にはらわれている。
道はゆるい上り坂で、すれ違う車も少なく、
下から見上げる角度で、マンションがいくつも空に向かって伸びている。
住宅街の中のおいしいケーキ屋さんまで、夫に車で連れて行ってもらった。
「ロールケーキが食べたい」と、どうしてもそう思ってしまったから。
チョコレートの、表面はサクっとしていて中はしっとりとした生地に、
あまり甘くない生クリームと赤い苺がごろごろくるまれている。
それは「きりかぶ」という名がつけられていて、一本が1,050円だ。
おいしいデザートのある生活は素敵だと思う。
この街のさびしげな雰囲気も、坂道が多くて空ばかりがやけに広いところも、
おいしいデザートさえあれば、
そういったものさえも、何もかも素敵なものに見せてくれる。
小さな店がまえだけれど、店内は意外と広く感じられて、
美しく白い食器たちが、つやつやと磨かれて置かれているのも好もしい。
ショーケースの中のガトー・ショコラやプディング、
フルーツのケーキや苺のショートケーキが
誇らしげにおいしそうに並んでいて、思わず笑顔になってしまう。
日曜の午後3時に、それを切り分けて紅茶と共にいただいた。
おいしいねぇ。と言い合い、紅茶をたくさんたくさん飲んだ。
今日のこのロールケーキに、とてもやさしい時間をもらったと思う。
ひとつまた、感謝すべきものが増えた気がする。