遠くにみえるあの花火に
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2005年03月08日(火) ごわごわした古いセーターの匂い

うららかな日。

朝から洗濯物を干して、あわてて家を出、
駅のホームに整列し、電車に乗る。

並ばないでわりこんでくるおじさんにイライラしそうになる。
それを心の中で深呼吸してなだめる。
こんな天気のいい日に、イライラするのはばかげている。


磯貝みるめ君とサユリさんの、
古いごわごわしたセーターの匂いみたいな物語に
息が出来ないような気持ちになる。
そしてまた、心打たれながら電車に揺られる。

電車でゆきついた先は私を閉じ込める場所。

あっぷあっぷと溺れそうになりながら、
磯貝君とユリちゃんで、息を継ぐ。





救急車の音が聞こえる。

夕闇の美しさに、何度でもみとれて、
うららかな一日の、
ごわごわした古いセーターみたいな感触を呼びもどす。

鉄棒の、鉄くさいにおい。
てのひらにできたマメの黄色い硬さ。
そういった情景が、夕闇の中に見えている。





私の手先が器用だったらどれほどよかっただろう。
と、つくづく思う。

爪の先に視線を落として、
きれいに塗れていないマニキュアをじっと見つめる。





うららかな一日の終わりに、
洗濯物をとりこむ。

太陽の匂いがするシャツやタオル。

明日もきっと晴れることでしょう。



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