ふつうのおんな

2005年06月19日(日) 遺品整理その2

籐のつづらのような箱から 私と妹が子供の頃から母に送ってきたカードや手紙の全てが出てきた。
母の日
誕生日
クリスマス
プレゼントをもらった御礼
親子喧嘩をした後のごめんなさいの手紙
果ては「今日は飲み会だからゴハン要らないよ」とか「だれだれちゃんちに行くね」などのメモがきまで。

大切にしてもらってたんだなと 胸が痛くなった。

『親思う心にまさる親心、今日のおとづれ何と 聞くらむ』
月並みだけど吉田松陰の辞世の句が浮かんだ。

私と妹は病気を知らされてからの2年半 その時々でできることを頑張ってしてきたつもりだけど それが母にとって心から満足だったかはわからない。

解からないけれどあの人の子供に産まれて本当によかったと思う。

私が小学生の頃 母に「この詩は大好きだから覚えて」といわれて暗誦した詩がある。

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山のあなた [カール・ブッセ]/上田敏『海潮音』より

山のあなたの空遠く
「幸」住むと人のいふ。
噫、われひとゝ尋めゆきて
涙さしぐみ、かへりきぬ。
  
山のあなたになほ遠く
「幸」住むと人のいふ
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いま 調べて初めて意味を知った。

「幸せは彼方にあると聞き、求めて行ったが、むなしく泣いて帰った。
それでもなお遠くに幸せはある、と人は言う。」

この詩を母はどんな気持ちで私に教えたのだろうか。

chick me
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