父が再婚するという。 「お前には会わせておく」 と紹介されたその再婚相手は小さくて というかフランス人形がそのまま人間になったような姿かたちで 顔だけはちょっとふけた日本人という女性だった。
その帰り道、父と歩きながら線路まできたところで電車が来たので立ち止まった。
「お父さん なんであんな感じの人なの?あれだったらお母さんのほうがずっといけてるよ。」 電車が通り過ぎた後踏切が上がったので一歩踏み出した。 ふと見ると向こうからおかっぱの中年女性が歩いてくる。
「ほら、向こうから来るあの人のほうがさっきの人よりずっと・・・。」
私は目を疑った。
母なのだ。
母が満面の笑みで「えっちゃーん、どがんしたと?(どうしたの?)」と声をかけてきた。
私は「おかあさんおかあさん」となきながら母の元に走りより、母の足元で腰が抜けて座り込み、母の両足にしがみついてワーワー大泣きした。 母の顔をみようと見上げると太陽が逆光なうえに涙でかすんで見えない。
そこではっと目が覚めた。
時計を見ると7時半。
まずい。 今日朝会議があるんだった。
いまも母の満面の笑みと「えっちゃーん」という呼びかけが頭にずっと残っている。 幸せな気持ちでいっぱいになれた。
ちなみに母は亡くなる数年前からおかっぱではなくちょっと長めのショートカットだったのだが、おかっぱ時代が一番長い。
chick me
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