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久々に電車乗ってくる - 2004年08月21日(土)

ユニ子は寮生をやっている。
入学して二年間は原則として同級生と相部屋という寮則に従って、
ユニ子はヒロコという女の子と相部屋になった。

ヒロコは、細くて声が高くてキティーちゃんが大好きな女の子で、ユニ子位背が高い女の子だ。

二年間相部屋やってれば、そりゃ喧嘩もした。
全く話さない日が続いたりもしたし、怒鳴りあいになったりもした。

そういうことは何回かあったんだけど、
一度だけ、どうしても、何故ヒロコが怒っているのか、ユニ子が分からなかったことがある。



秋か冬か、二年の時だった。
ユニ子は先に部屋に戻っていて、ベッドに座っていて、ドアが開いてヒロコが帰ってきて、

あきらかに不機嫌な様子だった。

ユニ子は最初、不思議に思いながらも、普通に話しかけていて、だけどヒロコの態度から、その不機嫌さがユニ子に対して発せられているものなんだって気づいた。

結局朝になって、全然お互い喋らなくなってて、そのまま点呼に行って支度して学校いって帰ってきて、夜になった。


そのあとのことは、うろおぼえなんだけど、ヒロコに言われた台詞はハッキリと憶えている。


どうして何もいわないの
なにその顔
自分傷ついてますー みたいな表情してさー
ヒロコが
ヒロコの言ってることが正しいとは限らないじゃん
どうして何も言わないんだよ
おまえ悔しくないのかよ
ヒロコにこんなにガンガン言われっぱなしでさー
何か言いたいことないわけ?


こんなカンジだったな、確か。

この台詞にたいして、ユニ子は終始黙りっぱなしでした。
いや、言うには言ったな。


だって
ヒロコが正しいんだもん
あたしが間違ってて、悪いんだもん


こんなこと言ったな。
んで、そこからもうろ覚えなんだけど、


結局、ヒロコが
何でヒロコが怒ってたか分かった?
って聞いてきて、ユニ子は

うん、分かった


なんとも調子のいいこと言って、

そのあと二人でにこにこあははと元にもどった、
許してもらえてよかったー  

と、当時のユニ子は思いました。
けど










ほんとうは
諦められてたんだ





ああこいつ何言っても無駄だって







ヒロコとは、今も仲のよい友達です。夜中にきがねなく部屋を訪れたり、休みの日には一緒に出かけたりもします。

だけどユニ子は、あの時のことを何度も思い出して、ヒロコが何故怒っていたのか、何を言って欲しかったのか、考えてみるけれど、分からないままです。





ユニ子は今もひとでなしで駄目な生き物です。



結局、変わりたい変わりたいって言っといて、なにも変わってないじゃん



これもヒロコに言われた言葉です。





ブレザーを着ていた頃、周りの言葉をだらだら流して生きてました。

深入りせず、深入りさせず。

へらへら適当に笑って相槌打って、おまえおもしろいなーとか言われていい気になって、そんな高校時代でした。

本音で話せる友達もできたけど、その子はもう東京です。





何にも変わってないんだユニ子。


せめて馬鹿みたいに明るい女になりたい。
それか廃人になりたい。


ちがうほんとうは、支えてあげられる女になりたい。
たかこの本当の恋人になりたい。

                       午前二時三十五分









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