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■ アンダルシア幻花祭 (本)
アンダルシア幻花祭 赤江 瀑 講談社文庫 / \390(昭和62年当時)
(収録作) アンダルシア幻花祭 / 刀花の鏡 / 五月の鎧 音楽室の岬 / 獣心譜
白い家、パティオ、咲き乱れる花に注ぐ熱い陽光―― スペイン地方アンダルシアに魅せられ、踊り手をめざした日本人青年は、恋人すら捨てて旅立つ。 そして数年後、恋人に成り代わった女性が青年の後を追ってスペインへ。彼女が見た美しい風景と酷薄な現実とは? (カバー文より)
白い光に灼かれた瞬間、わたしは深い眩暈を感じた。 やってきてしまったのだ、と。もう引き返せないのだと、そう感じた。 深い眩暈に眩み続けるわたしの元へ、一人の青年が声をかけてくる。彼は、西野優一郎の代理だとわたしを出迎えた。 西野優一郎――わたしは、彼に会うためにこの国まで来てしまった。アンダルシアへ。禁忌の国へ。 会うか、会わぬか。その狭間で揺れ続ける心を抱えたまま、わたしはアンダルシアの美しさに酔いしれる。 そして、彼に会う日が、来る――…
赤江瀑、というと、日本的な伝統美や狂気の深淵を描く事で知られている作家さんなので、最初は(読む前は)アンダルシアの眩しい原色のイメージと何処かミスマッチな感を抱いてましたが……読んで、やはりこれは赤江だと、そう思いました。凝固した血液の色のイメージだった彼の“殺し蜜狂い蜜”の文体ですが、その毒は原色ならば原色で、眩しいなら光に満ちて、幾重にも変化するのだと。
2004年08月13日(金)
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