フェラーリの復活で幕を閉じた20世紀のF1、それを引き継いで行われる 新世紀F1選手権。来シーズントヨタが参戦、そしてルノーの完全復帰への 足音が聞こえるなど、大自動車メーカーが雌雄を決する舞台への準備が着 々と整いつつあるF1選手権。そう、新世紀メーカー大バトルのF1選手権と いうオペラの序曲、それが今年のF1であると思えるのだ。 マクラーレンVSフェラーリという図式がそう簡単に崩れるとは思わない。今 年もここ数年と同じ図式でF1が展開されるのはほぼ間違いないと思う。もし この図式にああきな穴があくとしたら、それこそが21世紀の足跡なのだろう。 コンストラクターズの争そいからカーメーカーズの争そいへ。いや、80年代 後半、日本人がF1に目覚めた時からすでにそうだったのかもしれない。私た ちはセナに熱狂したがその後ろには「ホンダパワー」の存在があった。ホンダ パワーがベビーフェイスだとしたら、その後ろには「ルノー」というヒールがいた。 だがその時とカーメーカーたちの意気込みが違う。そしてカーメーカーの状況 もちがう。結局はBARというコンストラクターと組むことになったが一時期はシ ャーシまで自前で造ろうとしていた。トヨタは来年完全自前のパッケージでF1 に参戦してこようとしている。ルノーもその名前を再び登場させてきた。本格復 帰目前だ。大フォードももうへまをやらかすわけにいかない。ジャガーにボビー・ レイホールをはじめ一挙にスタッフを送りこんできた。20世紀をしめくくったフェ ラーリもまけてはいられないだろう。ここ数年、自動車業界は世界的な大再編 成のまっただなかにある。日本も気づけば海外資本が入りこんでないメーカー はホンダとトヨタだけになってしまった。そしてその2メーカーが今F1という舞台 に出揃おうとしている。イタリアフェラーリ、米英連合ジャガー、フランスルノー、 そして日の丸ホンダ・トヨタ。自動車業界大再編成の荒波をのりきった強豪メー カーたちは、それぞれの国を代表する大企業だ。自国の大企業を応援したくな るファンの心理がある以上、そこにはナショナリズムがからんでくると考えても おかしくない。 スポーツは戦争の代理行為だとよく言われる。けれども戦争なんていうきなく さい言葉を使いたくない。そこでオペラ。それぞれの国を代表するミュージシャン がサーキットという舞台に集まりF1というオペラを歌い上げる。 ちょうどいい、ホンダミュージック、フェラーリサウンド、そんな言葉もF1には あるじゃないですか。21世紀F1、まもなく序曲より開演です。くれぐれもカーテ ンが開くまでに席におつきになるよう・・・・・。
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