がっかり。げんなり。う〜んなんなんだろうな〜。「あれが歌舞伎か?」とか、そういうことは言うつもりはないんだけど……。違うんだよな〜。
実に半年ぶりぐらい、久しぶりに歌舞伎を観劇してきました。夏の歌舞伎座はお祭り。いつもは昼夜二部興行なのですが、8月だけは三部制。5時間というなが〜い興行時間にげんなりしてしまい入ってきずらい人も3時間弱の興行ならけっこう見られるものかも(値段もその分リーズナブル)。出てる役者も豪華! 勘九郎に三津五郎などなど、今をトキメク役者陣が豪華賢覧、勢ぞろいしての舞台になっていました。
そして8月の歌舞伎座もうひとつの注目は…… 普段、歌舞伎の世界に足を踏み入れていない演出家が舞台を演出するのです。昨年までは串田和美が演出、そして今年は、なんと現代劇の異端児、野田英樹が演出を担当したのです。
で、その野田が担当した演目が「研辰の討たれ」
町人から武士になった研屋の辰五郎、通称研辰。ひょんなことから長老を殺してしまった研辰、長老の息子にあだ討を狙われることになってしまう。けど研辰「死にたくね〜よ、生きて〜よ」逃げる研辰、その道中で興す様々なトラブル。「春に散るのは桜だが、秋の紅葉も散りゃ地に落ちる」研辰の運命はいかに。
ま、そんな内容の芝居なのですは。 おいらの観劇仲間である、K書店のKさん。今回はKさんと歌舞伎座に行きました。芝居が終わり銀座の街に出たおいらとKさん。ふと、目と目があった瞬間。 「はぁ〜」
東銀座から新橋方面へ歩いている最中、「よかったね〜」「さすが野田さん」という声多数。えー、よかった、さすが野田さんの芝居ですは。
けど、歌舞伎ってそういうもんじゃないんですよ。舞台の幕が開いてから閉じるまで、ノンストップの抱腹絶倒の芝居、それはそれでいいと思いますよ。野田英樹の芝居はテレビでしか見たことないから(行きたいんだけど、まず、チケット買えないからね〜)野田の芝居がド〜ダコ〜ダはあんまり言えないけど、ええ、野田の芝居としては、良かったと思います。しかし、ここは江戸は木挽町、東京は銀座の歌舞伎座、歌舞伎のステージなんですよ。歌舞伎座という芝居小屋に求められる「品」ってものがあるでしょ。「品」なんていうと格式ばったもんになるから、「粋」とでも言っておきましょうか。歌舞伎の芝居には独特の「間」ってもんがあるでしょう。「間」なくしてノンストップの芝居にしちゃったらそれは歌舞伎じゃないですよ。
おいらも、Kさんも「歌舞伎」を見ようと思って歌舞伎座に行ったので、歌舞伎座を出た瞬間、思わずため息。
串田和美の演出する歌舞伎が、ほどよく現代劇のエッセンスが盛りこまれ、いい感じの「現代歌舞伎」になっていただけに、今回の野田の演出ははっきり言って「がっかり」。
あれじゃ歌舞伎のパロディーだよな〜。残念。
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