鼠小僧白吉のうだうだ日記

2001年09月01日(土) 今井雅之と8月

今井雅之主演・脚本「ウィンズ・オブ・ゴッド」を見てきました。やまない拍手、スタンディングオベーション、涙を浮かべる今井……

早いものでもう9月、この数ヶ月、鼠小僧の時の流れは本当に速くて、8月もあっというまに通り過ぎて行きました。めいいっぱい仕事もした(つもり)けれど、その分、結構遊んだな〜(呑んだな〜)という感じのこの夏。いくつか上げると、金沢に行って、芝居をふたつ見て、結構飲み歩いて……と、そんな感じの8月でした。
今年の夏はとかく世間が騒がしかったような気がします。選挙、景気の低迷、靖国問題……、気にしていなくても耳に飛び込んでくる世間の騒々しい音。特に、日本にとって、8月は「15日」という特別な日が存在するので、余計に雑音が騒々しくなるのではないかと思う今日この頃です。

そんな8月のある日、ある芝居を見に行きました。今井雅之、主演・製作・脚本「WINDS OF GOD」。この芝居を見るのは実は4回目。大学1年の時に見たのが最初で、その時、舞台からあふれるパワーに圧倒され、それ以来再演の度に足を運んでいるのです。
ただ、さすがに何回も見ていると見飽きるもの。今回は観劇の予定はなかったのですが、ふとあるところから聞いた「今井は今回でこの芝居をやめるらしい」という声を聞いて、ならば、ということで4度「WINDS〜」の舞台へ足を運んだのでした。

時は現代、売れない漫才コンビのふたりは交通事故に合う。ふと事故から眼がさめるとそこは1945年8月、場所は神風特攻隊の基地。ふたりは戦時下の日本に、しかも特攻隊としてタイムスリップしてしまったのである。

と、いうストーリのこの芝居。演じる俳優のパワー、ストーリーの面白さ、深刻さ、いろいろな要素に惹かれて、何度もこの芝居を見ているのだけども、今回の芝居は今までみた中で、最高の「WINDS〜」でした。客観的な証拠をあげれば、スタンディングオベーションが起きた「WINDS〜」をはじめて見ました。カーテンコールが終わっても拍手がなりやまない「WINDS〜」もはじめてです。

「神風特攻隊」は志願兵の集団だったそうです。なぜ、死を持ってでしか職務を遂行できない特攻隊に志願する人がいたのか、なぜ、死を持ってしてまで戦う人がいたのか、現代に生きる鼠小僧にはとうてい理解できません。当然、舞台にいるタイムスリップしてしまった二人もそうです。でも、結局最後は二人とも特攻してしまいます。特攻隊という集団に疑問、戸惑いを感じていたふたりが、特攻を志願するようになるまで。
感覚的なものだからか、鼠小僧の語彙不足だからかは不明なんですが、4回目にしてはじめて、舞台にいるふたりの漫才士のその心変わりとともに、鼠小僧も特攻隊の気持ちが、なぜ、彼らが特攻していったのかが、なんとなくわかった気がしたのでした。

誤解のないように書いておきますけど、別に鼠小僧は右でも左でもないし、戦争なんてまっぴらごめん、けんかすらもほとんど経験なしのめちゃくちゃ現代っ子でございます。でも舞台で演じる役者の、その心が、観客席にいる鼠小僧に伝わってきたのです。おいらがもしその時代にいたとしても、絶対に特攻なんてやってません。おいらはいやです。だからと言って、芝居を見て思ったことは、特攻で消えて行った人々を「こいつらはバカだ」と否定できない気持ちなったのです。それどころか、「その気持ち、わかる」と。

鼠小僧白吉がそう感じたのは、役者の熱演のせいだったのでしょうか、それともいろいろさわがしかった8月のせいなのでしょうか。月は移って9月。けど、まだまだ暑い日がつづきますね〜。9月は少し静かに過ぎればと思う、今日このごろです。


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