アイゾウ

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2015年03月01日(日)
催眠術2回戦。1



ドアの前でバスタオル
一枚の私は、施術師を
見上げながら最後に
お願いをした。


「抱きしめて下さい」


甘え過ぎかな、と思い
言うのをためらってた
希望は、すぐに叶えて
もらえ、おまけにキス
までついてきた。


またね、と笑顔で手を振り
部屋を出ていく施術師を
見送った後、私はカバンに
入れておいたICレコーダ
を取り出し、停止ボタンを
押した。
護身用といっては頼りない
けれど、小さなこの機械は、
私の唯一のお守りだった。


ICレコーダをベットに
置いて、ごみ箱をあさる。
我ながらみっともない行動
だと思いながら、中から
ティッシュの包みを
探し出した。そっと開いて
薄い紫色のそれを取り出す。
しばらく見つめて、また
包んで捨てた。


シャワーを浴びて、化粧を
直す。洗面台のわきにIC
レコーダを置いて再生する。
録音していたのは2時間。
ベッドに入ってから、先程
ハグをしてもらったまで。
私ってこういう声なんだ、
と思いながら眉を書き、
ファンデーションを塗り、
口紅を塗った。
服を着ながら、髪を整え
ながら、聞きたいところ
だけを20分程度聞いて、
音声データを削除した。


チェックアウトまでは
まだ時間があったけれど、
ひとりきりでいるのは
さびしすぎた。カフェで
お茶して帰ろう、と思い
部屋を後にし、わざと
混んでるカフェに入った。


ヒザが笑ってる。
疲労感は前回以上。
さっきまでの事を思い
だしながら、コーヒーを
飲んだ。



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