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The King and I (パヴァロッティの話)
2004年09月29日(水)

 "The King and I”  H.Breslin


ルチアーノ・パヴァロッティの36年間にわたる元マネージャーによる内幕話。といっても、いわゆる3大テノール興行についての抜粋のところを”Opera News"で読んだだけ。まあ、わざわざ読まなくても当然想像できるような話でした。レブレヒトの賛否両論ある問題作『誰がクラッシックをだめにしたか』のほうが構造的な問題として、3大テノール興行を鋭く暴いていたような感じ。

一晩うたって一人30万ドル、といわれても、私にはそれがいくらなのか、想像もできない。でもまあ、私が払うわけじゃないから、不当だといって怒る気もしない。全盛期のパヴァロッティは素敵ですよ、輝くような声があふれてくるもの。それを彼ののどを発生源とする空気の振動で聞きたいか、それともアコースティックな形でもいいか、ということで、3大テノール公演にお金を払うかどうか、決まる。

昨年暮れだったか、世にもみっともないセットで、3大テノール最後の日本公演があった。テレビで見たけれど、これにお金を払う人はよくよくのファンか、よくよくお金が遊んでいるか、音楽とは関係のない下心があるかだろう。老醜テノール3人組であった。今年の春には、パヴァロッティの引退記念ツァーもあった。これは少しだけ心が動いたけれど、場所が東京フォーラムだったし、法外な価格だったし、ちらしだけ大事にとっておくことにして、チケットは見送った。その後の評判も聞かない。

それにしても、元マネージャーの暴露本みたいなものが、西洋には格別多いように思う。島国の律儀者にはどうも抵抗がある。表紙にはパヴァロッティの写真を使うのだから、出されるほうも一応は了解済みのことなのだろうし、あるいは、とにかく話題をキープすることが、結局は自分の収入にも関係してくるということで、黙認なのかしらん。全部読むかどうかは、ペーパーバックになってから考えよう。

だけど、だけど、パヴァロッティはやっぱり大歌手です。

さて、この記事の最後についていた小咄。
3大テノールが南極公演を行い、ペンギンたちは大喜び。
でも事の真相は、もう誰も聞きたがらなくなったからだとさ。
(出所はドイツの子どもの本らしい。)





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