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『ぼのぼの』
年末大掃除決行中である。 過去何回かの大掃除の荒波を越えてきたマンガ『ぼのぼの』を処分することにした。95年から01年までの20巻がある。まだ続いているから30巻越しているのだろうか。
最初の頃、実に新鮮で、いびられの「シマリスくん」や「スナドリネコ」さんなどとのやりとりが面白かった。凶暴な「アライグマ」くんもよかった。とぼけた滑稽さが魅力だった。ところがだんだんしょうもない俳句めいたものが混じったりして、俳諧味を押し付けるようになった。(今更見直して検証する気にならないので、おぼろげな記憶のまま)
それにつれてキャラも増えていき、『ぼのぼの』の世界が陳腐化した。このキャラの増加というのも、安易に新しいキャラにエピソードの創出を頼って全体的な収拾がつかなくなることが多い。
唐突なようだが、蕉門の「軽み」の句が通俗的であるとか、そうでないとかいう論議がある。芭蕉の「軽み」を上っ面だけ似せれば、確かに浅薄そのものであろう。あの「軽み」というのは、芭蕉の句にしたって、なんかぎりぎりのところをやってるなあ、としか私には思えないけれど、とにかく『ぼのぼの』には芭蕉のへぼい弟子と同様に、真似っこの感じがしたから、読まなくなり買わなくなったのである。田舎蕉門が道学者めいた口ぶりで語れば、面白くなくなるに決まっている。それに耐えられる人は間違いなく素直で向上心豊かな人だろう。当然、私ではない。
最初はとても好きだっただけに、捨てるのはちょいと残念。でも読み返すこともないので、引導を渡す。日焼けしてなきゃ、ブックオフで第二の人生があるのにね。
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