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『世界歴史の旅 ビザンティン』
世界史でおなじみ山川出版社で出しているシリーズもの。 そういえば受験生のとき、山川の記述式問題集というのをやっつけた。その成果は、○○字以内で書け、という問題にびびらなくなったことだ。思うにあれは、無理難題を列挙したような問題集だった。
この間から、トルコに関心を持っているのだが、なかなかこの方面の手ごろな本(素人に読みやすい本)は少ない。その点、これは写真が多くきれいというだけの理由で買った一冊なのだが、期待以上に内容が豊かだった。「歴史の旅」と銘打っているせいか、前半は解説、後半は具体的な見どころの紹介という一見ガイドブック仕立てだが、見どころに到達するまでの交通案内はないから、ガイドというよりは旅心掻きたて本と位置づけるべきであろう。
シリーズのほかの本は知らないので、あるいはこの本に限ったことなのかもしれないが、ビザンティン美術や建築の格好の手ほどきとなった。歴史の旅といっても、これは美術史限定である。美術鑑賞は、ある視点を与えられることで、単なる視覚的な感興以上の意味合いを見出せることがあるけれど、まさにそんな感じ。特に様式に立脚して成立する分野にはこういう手ほどきがありがたい。
ビザンティンのイエス像はどれをとっても実にgood lookingで、神の子イエスという雰囲気満点。
ビザンティン美術の足跡はトルコ、ギリシアと東欧だけに限らず、シチリアだのエジプトだのシナイ半島だの、さすがに版図の大きさだけ広がっている。しかしイスラム世界の征服があった上、それに先立つカトリック世界とのきしみがあったから、集中的にきれいに残されているわけではない。が、まずはめざせ、イスタンブールである。貯金しよう。
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