急に涙が溢れてきた。
何かを、思い出してしまったから。
きっとそれは、漠然としたぼんやりとした過去の記憶。
大切にしてきたものと、大切にしたいもの。
本当は失くしたものなんて何も無いのに。
私には、もう、何も無いようなそんな気がして。
そこに在るのに。傍に居るのに。
いつから恐くなった?いつから。
あたしはガラス越しにこの世界を眺めるようになったのだろう。
手を伸ばしたらきっと届くと信じていたのはいつだったかな。
ねぇ、それでもこの闇の中で。
僕は君だけは失いたくなくて、必死に言い聞かせたんだ。
遠くなんかない。僕には君がいるからって。
周りを敵に回しても、誰かを傷つけても。
僕の一番は、君だけだから。
依存から、共存に変えられるように。
僕は手を伸ばして生きたい。
君の手を、君に手を差し出せるように。
君の隣を、歩いていけるように。
|