フランス料理が、嫌いだ。
おフランスのフルコースに大枚をはたくぐらいなら、毎日吉野家に通おうと思う。
オマールエビの冷製サラダ風南プロヴァンス仕立てバルサミコソースみたいなモンでコメの飯は食えない。
逆に、イタリア料理が、好きだ。
おフレンチ上がりの作るイタリアンではなく、田舎料理を提供してくれるイタリアンが好きだ。
イタリア料理の基本は、にんにく、タカのツメ、オリーブオイル、である。
調理法も至ってシンプルで、辺に素材をこねくり回さない。
イタリア料理は、中華料理と共通する所が多い。
基本的に安い、早い、旨いの三拍子、ほんのり香ばしいにんにくの香りが、食欲をそそるのである。
いわゆる「ガッツリ系」である。
イタリアに食い倒れに行きたい。
昔からの夢である。
しかし、その夢が叶う事はないだろう。
片道飛行機で15時間、そんな長い時間タバコを吸わずに過ごせない。
そんなオレでごめん、おれ。
…、最近、寿司に凝っている。
しかも、回転寿司の「あきんど」がツボだ。
…、まぐろ。
…、サーモン。
…、アジ。
…、ハマチ。
…、肉団子。
!?肉団子て何やッ!!
海苔を巻いた軍艦巻きの上に、肉団子が堂々と鎮座しているのだ。
んで?次は…エビフライ?
ポテトサラダ?
…、焼肉。
…、キムチ。
…、かにサラダ。
この、無法地帯とも言える廻るボーダレスなサーキットに、やるせな系の魅力を感じてやまないのだ。
しかも、悔しい事に、美味しい。
是非、全国寿司職人選手権に出場させてあげたい。
…、日々、その腕と技を磨いた板前さん達がズラリと並ぶ会場。
毎日、休む事なく弛まぬ修行を積んできた彼らは本物のオトコ達だ。
ピンと柳刃包丁の如く張りつめた空気。
冗談は通じないテンション。
戦場。と言い換えても過言ではない。
……。 「では、調理開始!!」
の合図とともに、今朝、築地で吟味してきた新鮮な最高の魚達に卓越した包丁裁きが走る!!
炊き上がったシャリは一粒一粒がピンと立ち上がり、眩いばかりのツヤと光沢を放っている。 そして、待っている。アンタ、オレを握ってくれよ…。
…と、その横で!!
エビフライが揚がる香ばしい香り!!
焼肉を炒める中華鍋の逞しい金属音!!
ぶりッ、ぶりッとマヨネーズを絞るぬるい空気。
死ぬほど場違いだ。
そんな絵を、一度見て見たいぞ、あきんど。
意外と評価高かったりしてな。
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