ことばとこたまてばこ
DiaryINDEXpastwill


2004年12月19日(日) 転生

裸に目隠しをされて横たわる女性の臍の窪みに指を突っ込む。
そして左右にぐいと開いてお茶の葉をパラパラ入れた。

女性が切なそうに眉をひそめて身をよじった。
ゆるやかな曲線を保っている腰は動く。
押し開いた臍の穴を覗きこむと、暗黒の世界のなか一本の薔薇が置いてあった。
お茶の葉の緑が薔薇の真っ赤な花びらをぽつぽつ染めていた。

臍の穴をさらに押し広げて薔薇に手が届くように腕を挿入する。
肩一杯まで入れても薔薇にはまだまだ届かない。次は全身を臍にうずめた。

臍の内部にて拾うた薔薇はとうに枯れてた。
臍の出口は遙かな頭上にてゆるやかに閉じてゆく。
差し込めたる光はどんどん細くなり最後はもはや糸のよう。

薔薇の棘を握りしめて手首を赤く染める血を舐める。
その味はしょっぱく「これだけは変わりない」と。
頬に血をあてると暖かく「これも変わりない」と。

刻が経過する。
暖かだった血をもう一度頬にあてると冷たく「これも変わりない」と。
しょっぱかった血を舐めようとすると全てを出し尽くしていて「これも変わりない」と。

体温が低下する。 「これも変わりない」と。
意識が薄れる。 「これも変わりない」と。
寒気がする。 「これも変わりない」と。
訪れる闇。 「これも変わりない」と。
全脱力。 「これも変わりない」と。
永劫。 「これも変わりない」と。


そして新しき幼子が臍の内部を巣くった。


陽 |HomePage

My追加