ことばとこたまてばこ
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まなこを見開いて自転車で夜の坂道を駆け下りる。 身も引き締まる冷風が容赦もなく吹き付けてきゆる。 まなこの潤いは急激に失われて乾びる。 まなこは水分を発する。
永い坂の半ば。 自転車の加速は増す。 尚も冷風は強まって。 尚もまなこは水分を発して、溢れて。
永い坂の終わり。 自転車の加速は最高に達す。 尚も冷風は強まって。 尚もまなこは水分を発して、頬を伝って。
いささか泣くことを忘れている時、わたしはこうして思い出す。 頬を伝う水の冷たくも不思議に安堵を覚える感触を。
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