ことばとこたまてばこ
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簾の隙間を通して見えるあなたに僕は遭遇した。 幾筋もの汗が首をなぞる、呼吸すらも熱い去年の夏の日だった。 あなたは一切の情感が抜けた能面で、幼子の首を締めていた。 簾の隙間を通して見える僕をあなたは見すえた。 それでも以前として力を込めて筋が張っている手は白く細い幼子に伸びていた。 とても熱い日 だった。
そして寒い今年のいま、目の前をある幼子が歩いている。 傍らにはあなたがいた。雪が降る。 不意にあなたはもんどりうって転んだ。 本当に鈍い音が、見えた。
幼子、呵々大笑。 僕も、呵々大笑。
雪の降る存外に冷ややかなアスファルトに横たわるあなたは くぐもった呻きをひゅんひゅん漏らして。
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