ことばとこたまてばこ
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音が潜む壺を開ける。 ばるん。 唄が響いた。
散り散りの情感に満ちた唄を全身に浴びし盲目の少年は、 暗闇の中で切なき表情浮かべて一度、二度と柏手を打った。
それは 割れそうな程に澄みきって 限りなく飛翔する、高き音。
少年は何度も 何度も 手を叩く。
いつしか柏手の高き音が閃光を伴い、 煌めき、またたき、闇を貫いてはつんざく。 少年は大きく息を吸い全身全霊の力を込めて、手を叩いた。 瞬時、網膜も焼け爛れる極限の白が弾ける。 そして いささかの時も許さず暗闇が還る。
その暗闇は先より更に暗けれども 同時にあの強烈な光は瞼に焼き残って 何も知らず震えていた以前よりもそれほど辛くなく。
少年、朗らかに笑った。
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