ことばとこたまてばこ
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2005年04月06日(水) 表裏

ここでおめえは頭から腰まで土に埋もれていた。
にょっきり、地面から二本足と手首がのぞく。
苦く重苦しい土が口内に充満。

すると彼が桃色の自転車こいでやってきた。
足と手首を交互に眺めたのち、彼は靴と靴下を丁寧に脱いだ。
慈しみすら越える情に満ちた手つきで彼はおめえの手をそっと握りしめた。
そしておめえの足に寸分違わなく自らの足を合わせて、
長い時をかけてつりあいを保とうと曲がる膝を伸ばしていった。


じっくりと、ぎくしゃくと、おろおろと。


やがて彼はおめえの足の裏から立ち上がる。
まったくそれはもう完全に見事に!背後で透明に白い桜が吹雪く。
その瞬間から彼もまた頭から腰まで空に埋もれていた。
のっぺり、空からぶら下がる二本足と手首が見える。
乾いて空きし空気が口内に充満。

するとおめえは首を鳴らし空中より這い出た。
暗くも暖かな土の中から空を見下ろす。
空より突き出る二本足と手首。
おめえはその手に頬を寄せて何度も飽くることなく撫でさすった。
やがておめえは彼の靴下と靴を丁寧に履き、土を掘りながら去った。


じっくりと、ぎくしゃくと、おろおろと。


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