ことばとこたまてばこ
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2006年11月07日(火) 二周年を祝して 『天 完結 -5- なんと便利で哀れな仮面なのだろう』

フリークスの皆様方よ、
あなたはとても寂しがってはいないか
あなたの精神はよほど寂れてはいないか

私の話し方がおかしいと注目されて
私の歩き方がおかしいと注目されて
私の精神状態がおかしいと注目されて
私の体の部分がおかしいと注目されて
奇妙だと世間からのひやりとした視線を浴び続け
あなたがたは知らぬうちにすっかりやつれ果ててはいないか

フリークスの皆様方よ、
奇妙なあなたのたたえる笑顔を、無上のものであり
とんでもないほど素敵に輝いていると思う方々がいます

そうだ そうなんだ

奇妙なあなたの笑顔はたしかに素敵なんだ
その笑顔の裏には
到底我らにはうかがいしれぬ不条理ゆえの苦渋と
不条理な障害ゆえ健常者との上手な接触方法が及ばないがため
わけがわからずもスッキリとにこやかに微笑めてしまう哀しき術が

ほんのり透けて見えるから
だから奇妙なあなたの笑顔が
不思議にちょっと違う笑顔なのは
まったく当然なんだ



フリークスの皆様方よ、
あなたの笑顔は
なんと便利で なんと哀しい
鉄の仮面なのだろう



酷使し過ぎた仮面が
金属疲労を起こして砕けることもあるね



フリークスの皆様方よ、
笑わなくたっていいときもある
懸命に反射的に動く口端の筋肉をおさえつけろ
笑わない真顔のあなたがいちばんに素敵な顔のときだってある

懸命に笑わず日々を過ごし 本当に笑っていい瞬間に 本当に笑ってみたらどうだろう

ただでさえ奇妙に素敵なその笑顔が
そうだねまったくまるであの太陽よりも輝くのだと思うんだね


フリークスの皆様方よ、
あなたの笑顔は まちがいなく 無上であり素敵なのだ


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