ことばとこたまてばこ
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2007年01月24日(水) |
やわらかい衣にしがみつく小僧 |
眼に見えぬ世界にくるまれてとろけそうな小僧 歩いたことのない森林をくぐり抜けると 豊潤なる河の流れを目の当たりにした えもいわれぬ淡く繊細な輝きを放つ河 ああなんたる神々しさ、と眼を細めた
ふと右を振り向く
見つめるは遥かな果てだけれども それでもなお巨躯なる天女がいた 天女の長き羽衣が河の流れの如く どうどうどどうとうねっていたのだった
天女は小指を曲げた 軽く ほんのすこし くくっ それでも関節の曲がる音が辺りいっぱいに響くほどだった ゆるりと天女は白くふくよかな体を優美にくねらせ またさらなる遥かな果てへと突き進む 羽衣の流れは曇りの日の河の流れに似ていた
気づけば小僧は衣服を脱ぎふんどし一丁になりながら 河に似た羽衣の河へ向かって走って飛び込んで、しがみついた
羽衣に流されるまま小僧は天女とともにあの遥かな果てへ、と
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