彼がお休みの日に
彼の家にわりと近いところに用があって
せっかく近くまでいくんだから、少しだけ逢おう・・・
って事になった
前日に
ちょっと風邪ひいたみたい
って言われてて
それが少し気になってた
待ち合わせは
用事が済む時間に
彼に最寄り駅かその周辺に来て貰うようにして
どこかで逢おう・・・って
場所は決めずに約束した
そこに向かう途中で
何度かメールをやりとりして
体調を尋ねると
昨日の朝よりはいいよ
って返事くれてたし
用事を片付けている間にも
なに中?
とかメールが来ていたので
予定通り逢えるつもりになってた
夕方
用事が済んで電話すると
こっちに向かっているはずの彼は
まだ家にいた
体調がまだ悪いらしくて
はっきりとは言わないけど
家から出る気はなさそうな感じが伝わってくる
ここで無理させて
明日の仕事に響いてしまったらいけないよね・・・
仕方ないね このまま帰るよ
うん・・・逢いたかったけど そうして貰えると
じゃぁ そうするね
そう言って
帰ろうと思ったけど
せっかくココまで来たのになぁ・・・って思う
途中のサービスエリアで
彼の好きなもののレトロ版を買ってきちゃったし
それだけでも渡して
顔だけでも見て帰ろうかな・・・
って思って
まだ繋がったままの電話はそのまま
カーナビを彼の家に設定して
彼にはそっちに向かっていることは言わずに
話しながら車を走らせた
初めは
渡すだけでも・・・なんて
良い子の気持ちでいられたんだけど
話している間に
なんだか
だんだん悔しくなってきた
もっと早く
朝でも
昼でも
無理だって思ったときに
そう言ってくれればいいのに!
ごめん、具合が悪くて行けない、ごめん!
って
謝ってくれれば、まだいいのに
なんで私から
やめようか?なんて、切り出して
すんごく悔しい気持ちでいっぱいなのに
ものわかりのいい振りしてるんだろう・・・
だってさ
さっき電話したとき
家にいて
出かける仕度もしてなくて
出かける気すらなかったんだから
すぐに
ごめん、行けそうにない!
って言ってくれてもいいのに
なんだか
のらりくらり
行く気はなさそうな雰囲気を漂わせて
自分からは言わずに
私から
やめようか?って
言わせたかったのかな・・?って
そこまではっきり作戦立てたわけじゃなくても
なんとなく
そう言ってくれれば自分から言わなくて済む・・・とか
思ってたんじゃないの?って・・・
だんだんそんな気持ちになってきて
それでも車は
彼の家へ向かっているのに
自分の家へ戻っている振りをしながら
ずるいよ!
って言ってた
彼にしてみたら
深く考えていたとか
そうなるようにしむけたということは
無かったみたいだけど
どうやっても出られない程体調が悪くなかったけど
・・・どうしよう・・・
って思ってて考えてて
こうなってしまったって言ってたけど
でも今日はあまり時間がとれないのは
最初からわかっていたことで
それなのに
この時間まで家にいるってことは
そこから仕度して家を出たとしても
すぐに私の帰る時間になってしまって
結局逢える時間は
ほんの少しになってしまって
それなら・・・無理しない方がってなって
結果逢えないってことになる
それって
逢うつもりがない!・・・
って感じられる
そりゃあ、私だってわかってる
出られないほど具合悪くなくても
明日以降の仕事のことを考えたら
今日、無理しちゃいけない・・ってこと
だから
可能だけど
やめておきたい・・・・って気持ち
だけど
それなら
そういうふうに
そっちから言って
ごめんね・・・って
言って欲しかった
じゃないと
よい子の振りして
拗ねたりできなくなっちゃって
この悔しい気持ちの持って行き場所が
なくなってしまうんだもん
ずるいよ!
一度言ってしまったから
もう「いいこ」ではいられなくなって
思ってた不満を吐き出してしまった
彼は
初めは
そんなつもりはなかった・・・とか
お昼ごろまでは調子がよくなってきてたけど
夕方になったらまた酷くなって
どうしよう・・・って思っていたら
こうなってしまった・・・とか
私が怒ると思って
言い出せなかった・・・とか
言い訳していたけど
とうとう
今からでも××にバイクで 向かうから、そこで待ってて・・・
って
彼が考えてる私が今走っているだろう辺りで
待ち合わせしようって言い出した
すぐ出れるの?
うん
じゃあ、裏の公園に来て
えっ?裏の公園? ・・・ってウチの裏?
うん
え・・・??・・・ ?? 最初からこっちに向かってたの?
うん
私の車はすぐに到着
少しして
完全防寒の彼が現れて
助手席のドアの前で
しばらく下を向いて立ってて
すぐにはドアに手をかけなかった
でも近所の目もあると思ったのか
なんとか乗り込んできた
私は
買ってきたおみやげを渡して
本当はそのまま帰っても良いと思ってた
でも彼が車に乗ったまま
この場所からは離れたそうにしてたし
とりあえずそこを左に曲がって
って言うから
そのとおりに車を動かした
電話で話していたとき
このまま帰るなら
□□□□で買い物をしようかな・・・って
私が言ったので
とりあえずの目的地は
彼の街にあるそのお店になった
この前、彼と見て
買おうか迷っていたダウンのジャケットは
この店舗には無くて
彼が歩いて行けるもう一つのお店もあるからって
そっちにも行ってみたけど
やはりそこにも無かった
あんまり無理させたくないし
歩き回らせるのもどうかな・・・って思ったし
ジャケットはまた次の機会でもいいよ
って言ったんだけど
彼はまるで罪滅ぼしのように
近くの店舗に電話をして
在庫の有無を確かめるのをやめなかった
結局、どこにも品物は無くて
彼を引っ張り回さずに済み
車に戻れた
これで充分だから
そのまま家へ送って行こうとしたんだけど
彼の言うままに車を走らせて
人通りの少ない川沿いの場所に
車を停めた
先週逢ったときに
私の抱えてる問題を話したけど
数日が経って
状況に変化があったのか
彼は知りたがってた
今の自分の状況
経済状態が悪くなってて
こんなふうに逢いに来られなくなるかもしれない
いろいろ不安があって
話している間に
泣いてしまった・・・
彼は・・・
俺に任せて・・って 言える経済力がなくて ごめん・・・
って言って
私を抱きしめて
髪を
背中を
撫でてくれた
彼が経済力があって
そういう気持ちになってたら
頼ってしまってるだろうけど
彼の人生は
自分で歩き始めたばかり
そんな彼に負ぶさるなんてとんでもない!
って思ってる・・・
だけど
そんなふうに考えてくれてる人がいる・・・ってだけで
なんとか自分でできることを
頑張ってやっていこうと
思える
投げ出したくなる気持ちを抑えて
ちゃんと立っていようと思える
風邪がうつらないといいけど・・・
って言いながら
彼はやさしいキスをしてくれた
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