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外国では(それにしても括りが大雑把)成人女性の声のセクシーである事は 低くちょっとハスキーな声に代表されると言うような事を聞いた事がある。 甲高い声は子供くさくて 全然セクシーじゃないんだって。 でも日本では、モンローの声は向井真理子さん。ブリジット・バルドーが 小原乃梨子さん。セクシーであると言う事はどこか「可愛らしくもある」のだ と言う 肉っぽくないイメージ戦略はさすが米食う人種だと言う感じ。 女性声優さんは昔から 張りのある、高い声が愛されて来た。 これは今も、むしろ傾向が強まっているように思える。 でもやっぱりお肉の国ではかなり違っているなと言うのは「ニモ」とか ディズニー物を観ていると良く判る。
では男性はどうかと言うと、やっぱり日本の声優さんで二枚目をやる人は クリアで高い声をした人が多い。これはかなり以前からそうで、第一次 声優ブーム(?)の中心だった神谷明さんや故 富山敬さん、青二プロで グループでレコードまで出していた当時の若手、三ツ矢雄二さん、石丸博也さん 森功至さん、水島裕さん、皆さん張りのある高い声の持ち主だ。 ちょっと異質に低いなと思ったのは曽我部和行(和恭)さんくらいだった。 池田秀一さん、中尾隆聖さん、塩谷翼さん辺りも個性的な声質が印象的だった。 でもって、今も 張りのある高い声の二枚目声優さんが多いようである。
昔は良く アニメも観たけど、今はそうでもない。声優さんにもめっきり 詳しくなくなってしまった。たまに「あの人かな?」と思うと間違えている。 いったん詳しくなくなると、聞き分けが付かなくなるくらい似た声の 人気声優 さんもいる。でも、これは昔もそうだったんだろうな、たまたま自分が良く テレビ観てたから判ってただけで。似た声の人は当時も多かった。 と言うより ヒーローの声はみな、どこか似ていた。 寧ろ今の方が個性的な声でヒーローもやる人はいるかも。山口勝平さんとか。
アニメを観ても、洋画を観ても ちょっと聞きでは「あれ?」と思う。 だけど聞いているうちに「あ」と思う声優さんが居る。石田彰さんだ。 この人の声質は高い。だが高いと言えば森川智之さんも高い。私はこの二人を 時々間違える。それ自体、今の声優さんには詳しくなくなっていると言う事 なのだろう。「ベルセルク」では全然違う役で二人とも出ているのに、それでも 間違えちゃうのだ。 石田さんが気になる理由は この人の節回しのアクにある。実にアクの強い 節で話す人だなあと思っていたが、全くアクを抜いて話す事も難なく出来る 辺りはプロだ。アクを取って話すと キャラクターの設定が浮き出し 声の強烈さは消える。その辺の調節がこの人の面白いところだなと感じていた。 ただ、キャラクターに色がしっかり付いてしまうので、どんな役でも合うと 言う訳でもなさそうな人だとも思う。
この人は喜怒哀楽では怒と哀が圧倒的に巧い。怒が巧い人は他にもいるが 哀が巧い人は珍しい。時々 舌が巻いちゃったり滑っちゃったりしている ように感じるが、計算なのかと思うほど 役にはまった時の演技が印象深い。 裏声ぎりぎりで(でもひっくり返らない)泣きを披露するこの人の声を 聞いた時は 思わずよ、声役者っ!なんて言葉を掛けたくなってしまった。
でも本当にアクが強いだけに勿体無いほど合わないなと思う時もあるが。
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