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2005年05月31日(火) |
『イケメン』の犯罪。 |
新聞下段の 週刊誌の見出しをよく読む。通勤時代、中吊り広告を読んでいた 名残りなのだ。 面白いと思えば笑う事もあるが、残念ながら笑えない見出しが圧倒的に多い。 だが今回は久し振りにちょっとだけ笑ってしまった。 「イケメン無罪」 勿論、事件にではない。フレーズにである。 この事件の犯人は 隣町に住んでいた事もある奴なので、事件が報道 され始めた頃から、何となく注意して新聞やニュースを見ていた。 連行される様子が 幾度となく放映されて、カメラの方を挑戦的に睨んでいるのか 自分の顔がビジュアル的に耐えられる事を承知しての事であるのか、とにかく 「随分な大物ぶりだな おい」 と私は思っていた。 上目遣いに睨み上げた顔は しばしば人に強い印象を残す。 逆に、途方に暮れて 視点の定まらない表情は 実はちょっとくらい顔立ちが 整った人間でも、中々そう取っては貰えない。 逮捕連行される時にカメラを睨んでいた人間って、私が見ている限りでは 余り多くない。それでも何人か、非常に強い目付きで睨み返していた顔がある。 どれも、テレビや新聞を介して 事件に接したと言うだけで忘れられない様な そんな大きな事件の犯人達であった。
この犯人、自分の事を『ご主人様』と呼ばせる前は、学校で普通に『王子』 と呼ばせていたそうで、いいんじゃないか王子。「おうじ〜」。 「さかな〜」(昔クラスメートに居た)とか「しらが〜」 (これも居た)とかと あんまり変わらない。むしろ「さかな」も「しらが」も 良くないぞ、本当は。人の顔とかあれこれ言っちゃあ。 呼ばせていたってのはでも気に食わないな。皆 勝手に呼んでやれば 良かったんだ「するめ」とか(非常に痩せていた私の弟が 高校時代 実際こう呼ばれていた)。
イケメンと言う言葉自体、私には馴染めない言葉だ。 こう言われて男振りに磨きを掛けようとする男性って居るのか。 いきなり眉毛を整えて良しとしそうな、そんな感じがするのだが。 顔が良い、良い顔をしている、顔立ちが良い、全部違う意味だが どれに近い のかもちょっと解らない。おばさんはこれだから。でも男性を誉める時は 贅を尽くして誉めないと。ただし腹の中で。
この監禁王子様。犯行は かなり性質が悪い。事件が発覚しなければ更に 大きな被害が出ていた事は疑いない。 おらが街を馬鹿たれた話で全国紙に載せおって。 こいつの姓も、同姓を持つ人が 散々嫌な思いをしたばっかりであろうにまた。 ちょっと職場に意地悪な人とかいると、2回苛められる事になるだろう、気の毒な事である。
肝心のちょっとだけ笑ったフレーズ「イケメン無罪」であるが、本気で 言っているとはちょっと思えない。不謹慎な冗談なのではないか。どっちにしろ 良い事ではないが。 私はその書き込みを見たわけでは無いが、イケメンになら殴られたいとか 言っている女性が居るらしい。殴られたいと言う嗜好がある人がこの世に居るのは 事実だが、イケメン限定と言うのはあんまり聞かないから、試しに 殴られて見るといいと言ってみたい。 きっと泣いちゃうぞ。ハナヂが出たら相手がイケメンとか 多分そんなのもう どうでも良くなっちゃうぞ。 もしも、殴られて良かったかも知れないと思ったら、今度は全然 イケメンじゃない人にやって貰おう。余り変わらない筈だ。良さは、きっと。 そう言う事なので(何がだ)イケメンが相手なら良かったじゃんなどと 言うのは、かなり違う話だ。
ちょっと、ぼくちゃん死刑囚大久保清を髣髴とさせるエピソードを持つ この犯人。 時代が変わり、欲望を募らせるきっかけとなった媒体も変わったが、大久保も 初めの殺人は被害者のふとした一言が引き金となって起きている。 彼も当時は、中々洒落者の優男を演出していたのである。 見目もそれほど悪くは無かった。 これは、取り敢えずまだ誰も死んでいなかった事だけが、辛うじて救いで ある、かなり特異で 悪質な事件なのだ。
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