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息子が流行り風邪で熱を出す。 冷却ジェルシートを額、腋に貼り、更に股に貼った時 寝ぼけて 「○○、○○、やめて〜っ」 と言われた。 ○○はクラスの女の子の名前である。 大人しい女の子で、夢の中でもなければ決してそんな悪戯はしない のであろうが、それにしても失礼な夢を見ているものだ。 眠りが浅いのだろう。
雨が窓を叩いている、風が吹きつけている。 子供は熱を出すもので、私たちもそれを繰り返して大きくなったのだが そうは言っても、やっぱり心穏やかではいられない。
旧式のゴムの水枕を作りながら「明日どうしようか?」と母と相談する。 明日は近所のショッピングモールへクジ引きに行く予定であったのだ。 こんな時に限って、相当数の抽選券を持ってたりする。 「どうせポケットティッシュが山になるだけだし」 「でも商品券が結構当たるんだよね、もったいないよねえ」 明日は今以上の大雨になるだろう。
日々は こんな事の繰り返しだ。 息子を見ていると、何がそんなに嬉しいのだろうと言うような顔をして 毎日を生きている。 ほぼ毎日学校で、大きな図体をして泣いたりもしている様子だが、それでも 自分を取り巻く、あらゆる物や事に興味があり、好きであるらしい。
息子は息子であり、そこに自分の希望を重ねて見るわけではないが 子供と言う生き物自体が 希望を体現しているように思えるのは本当だ。 聞いた話によると、ある年齢までは、そうであると言う。
買ったばかりの自転車が、カバーがかかったまま玄関に置かれている。 熱が下がり、雨が上がるまで、ほんの数日の事なのだろうが 今は私まで 待ち遠しい。
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