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南向きの窓は公園に面している。 その公園の角を四角く曲がって 小学校から子供達が帰って来る。
昨日一昨日と、珍しく雪になった。 雪まつりの雪像作りも「どうなるのだろうね」と心配になってしまうほど 今冬の降雪量は少なかった。 学校が始まって直ぐ、子供たちは 試練のように深く白い雪の中を登校する羽目になってしまった。
子供たちは、と言っても中学年くらいまでだろうけど、雪が大好き。 降った方がずっと嬉しいらしい。 わざわざ深い中を、雪を漕いで行く。
南向きの窓から、下校時刻の子供達を見ている。 真っ先に飛んで帰る子から 遅れる事20分ほどで息子がやっと現れる。 息子は大事そうに何かを抱えている。雪の玉だ。 他の子供たちも同じように大事そうに、一人一つずつ雪の玉を抱えて 歩いて来る。 あれは何故なんだろうか。
子供によっては磨きながら歩いている。 息子は途中で手に持っているものを雪の中に埋め、また巨大な雪の塊を 抱えると玉にし始めた。 こんな事をしているので、帰りが遅くなるのだろう。 子供達は何人かずつのグループで帰って来ている。 どの子も手に、雪の玉を持っている。 雪合戦をしているわけでもなく、ただ雪深い歩き辛い道を一心に 玉を抱えて歩いている。
雪魂・・・・・・そんな言葉が思い浮かんだ。
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