「お坊さんのよう。修行僧のよう。仙人のよう」 これは最近、稲垣吾郎さんがテレビで剛君を評した言葉です。 吾郎さんは以前、『情熱大陸』というテレビ番組でもまったく同じことをいっていた。
『情熱大陸』 これは二〇〇二年に三ヶ月間、剛君に密着取材した三十分番組でした。 冒頭、 「ただ、いい人だという評判だけは聞いていた」 というナレーションで始まる。 普段着で自動販売機の前で飲み物を選んでいる後姿にスタッフが声を掛けた。 「毎日テレビに出ているのに、こういうテレビの前だと案外自信なげですね」 素直に「そうだ」と答える剛君。 いつも「だめだ、おれは」と思ったりするという。 番組は映画『黄泉がえり』の撮影現場、『Drink!Smap!』コンサートツアー、 『チョナンカン』の韓国密着、メンバーへのインタビューなどがあった。 コンサートの本番前、厨房で剛君はイセエビの味噌汁を作っていた。 聞くと前夜から作っているという。 驚いたスタッフが、訳を尋ねた。 中居君が差し入れでいただいたイセエビを、「味噌汁にするとおいしい」といった剛君に、 中居君が作るようにいったというのだ。 「いつもそうなのか」、と聞くと、 「そう、いつも都合の悪いことはそう。おれと慎吾は」 答えながらなにごともないように味噌汁を作っている姿に、私は心を打たれた。 分刻みで仕事をこなし活躍をしている剛君は、少しでも休みたいのが本音だろう。 食事を作るスタッフがいるのにもかかわらず、淡々と味噌汁を作っている剛君。 ただのお人よしや服従とは片付けられない芯の強さを感じたものだ。 殺人的なスケジュールの中、肌はぼろぼろ、リハーサルもしないでコンサートの本番にのぞむこともある剛君。 私は痛く心を突かれた。 インタビューを受けた慎吾君。 「味噌汁のこと、誰かいいましたか?」 「あんなことは絶対にありえない!」 スタッフが聞く。 「彼は文句をいわないの?」 慎吾君は即座に答えた。 「絶対にいわない!」 木村君はこういった。 「いい人の彼は疲れてんじゃねーかな」
番組の終わり、剛君はこんな風に締めくくった。 「でも、自信があるときもあるよ。自信だせ!自信だせ!って」
その後、『黄泉がえり』で初主演のインタビューを受けた二十八歳のあの頃の剛君。 「実際、急ぐのに疲れてしまって。手応えを感じながら仕事をするのがいい」
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