テレビでフラメンコギタリストの沖仁さんという人の演奏が流れた。海だ、と思った。そのあと海の上の青い空だったり、海と空のあいだを流れる風だ、とか思ったが、最後の方は頭の中の風景はどこかに消えてしまっていて、ただ演奏者の沖さんの気配が頭に残った。やわらかだった。ギターの音色も、手拍子も、足拍子も、なんともかろやかで、その時間、私自身がどこぞへ旅をしているような気分だった。音楽は時間で描かれた絵みたいだ。