綿霧岩
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風が強かった。冷たかった。自転車を漕ぎ、大好きな公園を横切ったら、さらに冷たく激しくピーピー来た。しょ、障害物の少ない広い公園は、格好の風の通り道なのだった。公園を抜け、軽く警戒していた車道に出たら、陽が明るくなって、さんざん風の中を全力で漕いだところだったので、冷たさはもう感じなかった。あっという間に目的地についてしまった。私はそこにたどり着くことよりも、自転車で移動することが愉しいのだと気付く。 用事を終え、また自転車に乗る。今日はなんだか移動したくて仕方がない。今日は特別寒いねえというおじさんおばさんの声さえ、私の中のエンジン音に重なって心地よく響く。 夢のように自転車に乗っていたらまた次の目的地に着く。その建物の中は広くて暖かくてほどよく人の活気があって、入ってしまったら楽園のように思った。つい今しがたまで外を愉しんでいたにも関わらず、外にはもう出たくないと、信じがたいワガママな気持になった。 しかしいつまでもそこにいるわけにもいかない。外に出て、また自転車に乗り、風は前にも増して強くなっており、自転車ごと横移動、すげー、でも車が来てたら危なかった、今日はもう自転車に乗るべきではないかもと思い、さらに急いで漕ぐ。
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